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「隣にパートナーがいるから大丈夫」ジャンプで転倒…大舞台のピンチで三浦・木原ペアを支えた信頼関係〈スケートアメリカ銀〉 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2021/10/28 11:02

「隣にパートナーがいるから大丈夫」ジャンプで転倒…大舞台のピンチで三浦・木原ペアを支えた信頼関係〈スケートアメリカ銀〉<Number Web> photograph by Getty Images

スケートアメリカにて、GP大会自身初のメダルを獲得した三浦璃来・木原龍一組

「見ていて気持ちが良い」…海外ファンも急増

 二人には急激に、海外のファンも増えている。

 プレスルームでも、何人もの海外記者から「特別なペア」「見ていてとても気持ちが良い」との感想を聞いた。その理由は彼らの演技そのものももちろんだが、二人の作り笑いではない笑顔を見ていると、ついこちらまで微笑みたくなるからだ。

「体力的にすごい苦しかったんですけど、苦しいときになぜか笑えてしまって」そう木原が言うと、三浦は木原の笑顔につられて自分も笑顔になった、と告白。

「ぼく自身、なかなか思うような成績が残せない時期が長かったので、とにかく今、その世界のトップの方々と同じ試合で競い合えることがとにかく嬉しかったので、純粋に楽しい。今、スケートのすべての瞬間を楽しんでいると思いました」

 その彼の喜びがパートナーに、そして見ている私たちに伝わってくるのだ。

コーチが明かした、2人の「強いモチベーション」の秘密

 二人を指導するブルーノ・マルコットコーチは、「彼らは(ビザの関係で)ようやく9月にカナダに戻ってきてから、さらに上達しました。普段の練習環境に戻ることができて、とても嬉しいという気持ちがモチベーションになったのだと思います」と語る。

 この大会での2位は予想以上のもの、と喜びを口にしながらも、「でも私たちは、試合の準備をするときに狙う順位の話をしたことは、一度もないんです」と説明した。

「彼らは常に、少しでもよりうまくなりたいという強いモチベーションがある。目標は常にパーソナルベストスコアを出していくこと。そうすれば、結果はついてくるでしょう」

 9月のオータムクラシック、そしてスケートアメリカとスコアを更新してきた彼らは、今勢いに乗っている。

「彼らはもっともっと、うまくなりますよ」とマルコットコーチは太鼓判を押した。

 彼らの次のチャレンジは、11月12日から始まるNHK杯である。日本のファンの前で、どのような演技を見せてくれるのか、楽しみだ。

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