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「パリには絶対自分が行く」“ミライモンスター”藤波朱理が五輪金の“吉田沙保里2世”に挑戦状〈17歳で世界選手権制覇〉 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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posted2021/10/25 06:00

「パリには絶対自分が行く」“ミライモンスター”藤波朱理が五輪金の“吉田沙保里2世”に挑戦状〈17歳で世界選手権制覇〉<Number Web> photograph by Koji Fuse

初出場の世界選手権で、1ポイントも失うことなく金メダルを獲得した藤波朱理

 17歳という年齢だけをクローズアップされることにも抵抗がある。

「今までのレスリングに懸ける想い、あるいはレスリングについて考えてきた時間は(社会人や大学生と比べても)劣っていない。今回の最大の勝因は自信を持って戦えたことだと思います」

代表監督も太鼓判「これからもっと強くなる」

 藤波の才能、それはレスリングの高いスキルもさることながら、競技に打ち込む覚悟を感じさせてくれることだろう。彼女の主戦場である53kg級(オリンピックではロンドン大会まで55kg級)が、2004年のアテネ大会で女子レスリングが正式種目として採用されて以来、あの吉田沙保里が3連覇を成し遂げた階級であればなおさらだ。

「この階級に出場する日本代表として絶対勝たなければいけないという責任は感じていました。でも緊張はなかったです」

 2016年のリオデジャネイロ大会では、決勝で吉田を破ったヘレン・マルーリス(米国)が金メダルを獲得。先日の東京大会では“吉田沙保里2世”と称される向田真優が頂を極めた。

 奇しくも同郷(三重県)である向田との今後の展開について水を向けると、藤波は強い意志を感じさせるまっすぐな視線を投げかけながら話し始めた。「向田選手は本当に強くて、昔から憧れの選手だった。でも、パリには絶対自分が行く。そういう気持ちを持って向田選手と戦いたい」

  次の試合は今年12月開催の全日本選手権になる予定。前述の笹山監督は「藤波選手は、いまの状態が100%ではない」と期待を寄せる。「のびしろは、まだたくさんある。これからもっと強くなるでしょう。これから大学生、社会人という階段を駆け上がっていくことになると思うけど、どこまで行くのかと思うと本当に楽しみですね」

 やはり、Exciteしたいのはこっちの方だ。年末には、どんなミライモンスターになっているのか。

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