一方の野手は上位指名確実と見られる選手は不在だが、人気になりそうなのが水野達稀（JR四国・遊撃手）と藤井健平（NTT西日本・外野手）の2人だ。

　水野は高卒1年目からショートのレギュラーに定着すると、その年の都市対抗で社会人を代表する好投手の守安玲緒（三菱重工神戸・高砂、現三菱重工West）からホームランを放つド派手な社会人デビューを飾った。今年の日本選手権でもドラフト候補の八木彬（三菱重工West）からサヨナラホームランを放っている。

　171cmと小柄だが全身を使ったフルスイングでパンチ力は申し分なく、ショートの守備もプレーのスピード感が光る。打撃の確実性と守備の堅実さは課題となりそうだが、今年で21歳とまだ若いだけに今後の成長も期待できるだろう。

阪神・中野の活躍で期待が高まる社会人ショート。21歳水野達稀は将来性を見ても好素材だろう　©︎PABB-lab

　大阪桐蔭高2年時に日本一を経験している藤井は、抜群の強肩とスピード、高いミート力を備えた外野手。特にライトから見せるスローイングはプロでも上位に入るだけの迫力があり、シートノックで観客からどよめきが起こることも珍しくない。昨年の都市対抗では3試合で打率.750と打ちまくり、若獅子賞も獲得している。野手では最も即戦力に近い存在であり、スピードのある選手が不足しているDeNAや、多くの外野手を戦力外とした中日など外野が手薄な球団にとっては非常に魅力的な人材である。

　昨年のドラフトでは28歳の阿部翔太（日本生命→オリックス6位）や、独立リーグでもそれほど実績のない行木俊（徳島インディゴソックス→広島5位）が支配下でプロ入りしているが、今年も密かに解禁年を過ぎた社会人や独立リーグでも比較的無名な選手を狙っている球団もあるだろう。

　社会人と独立リーグから再びそんなサプライズ指名があるかにもぜひ注目してもらいたい。下位指名も含めて最後まで目が離せない。

社会人＆独立リーグ有力ドラフト候補一覧

＜投手・右＞
柴田大地／日本通運・2年目=日体大荏原高→日体大
横山楓／セガサミー・2年目＝宮崎学園高→国学院大
吉村貢司郎／東芝・2年目＝日大豊山高→国学院大
松本竜也／Honda鈴鹿・4年目＝智弁学園高
八木彬／三菱重工West・2年目＝八戸学院光星高→東北福祉大
廣畑敦也／三菱自動車倉敷オーシャンズ・2年目＝玉野江南高→帝京大
高田竜星／石川ミリオンスターズ・1年目＝遊学館高

＜投手・左＞
山田龍聖／JR東日本・3年目＝高岡商業高
森翔平／三菱重工West・2年目＝鳥取商業高→関西大
石森大誠／火の国サラマンダーズ・1年目＝遊学館高→東北公益文科大→熊本ゴールデンラークス

安定感に定評がある森翔平（三菱重工West）©︎PABB-lab

＜捕手＞
叺田本気／栃木ゴールデンブレーブス・1年目・右右=菊川南陵→中京学院大

＜内野手・遊撃手＞
水野達稀／JR四国・3年目・右左＝丸亀城西高
中川智裕／セガサミー・2年目・右右＝近大附属高→近大

＜外野手＞
藤井健平／NTT西日本・2年目・左左＝大阪桐蔭・東海大
中村健人／トヨタ自動車・2年目・右右＝中京大中京高→慶大