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「ポイントガード像を突き詰めたい」8シーズンぶりに主将を返上、“ヒラ”の選手に戻った川崎・篠山竜青が語った本音とは?

posted2021/10/08 17:00

 
「ポイントガード像を突き詰めたい」8シーズンぶりに主将を返上、“ヒラ”の選手に戻った川崎・篠山竜青が語った本音とは?<Number Web> photograph by B.LEAGUE

横浜との開幕節は1戦目で4得点8アシスト、2戦目に2得点4アシストを記録。ディフェンスでも存在感を見せた篠山

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吉川哲彦

吉川哲彦Akihiko Yoshikawa

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 昨シーズンの川崎ブレイブサンダースは天皇杯を制し、その勢いでリーグでも優勝の最有力候補に挙げられながら、チャンピオンシップセミファイナルで宇都宮ブレックスに屈する結果となった。Bリーグの過去4度のCSに全て出場した数少ないクラブの1つだが、最高成績は初年度にあたる2016-17シーズンの準優勝。日本リーグ時代から数々のタイトルを勝ち取ってきた古豪としては、満足できるものではないだろう。

 このオフには一昨シーズンの新人王である前田悟や、ユーロリーグでの豊富な経験を誇るマット・ジャニングを獲得。昨シーズンはニック・ファジーカスという帰化選手の存在を生かしたビッグラインナップを見事に機能させてみせたが、シュート力の高いジャニングがそこに加わることは内外のオフェンスバランスを良くし、対戦相手に今まで以上の脅威を与えるに違いない。当然ながら頂点を目指すことは今シーズンも変わることがなく、その想いは増すばかりだ。

 その一方、ある面で川崎が重要な転換期に差しかかっていることも確かだ。今シーズンは藤井祐眞が新キャプテンに就任。7シーズンにわたってその大役を務め、日本代表でもその地位を確固たるものにしていた篠山竜青からその肩書が外れたことは、ファンにも驚きを与えた大きなトピックだ。

新キャプテンの流儀

 ただ、新キャプテンの藤井について、篠山が「練習では少し振る舞いを意識して、変わっている感じがする」と証言する一方で、10月2日、3日に行われたシーズン開幕節の横浜ビー・コルセアーズ戦を見る限りでは大きく変化した様子は見られなかった。

 佐藤賢次ヘッドコーチ(HC)も「本人もそう言っていますが、言葉や行動よりもコート上のプレーで示すタイプ。私としてもそれを期待していますし、練習でも試合でも全力でやってくれているので、期待通りの役割を果たしてくれていると思います」と言うように、むしろ何も変わらないことが藤井自身にとっても、チームにとってもベストのようだ。

 練習でもハッスルディフェンスやルーズボールへのダイブを決して怠らない藤井の姿勢は、言葉はなくともそれだけでチームを一つにまとめる力がある。そして藤井自身も「竜青さんのように言葉でチームを引っ張っていけるかというと、僕はそういうタイプではない。僕は僕なりにプレーで引っ張って、竜青さんとは違うタイプのキャプテンとしてやっていけたらと思っています」と、自身に合ったキャプテン像を描いている。

【次ページ】 何故キャプテンの座を藤井に譲ったのか?

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