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《現役引退》南ア撃破の“10番”小野晃征が次世代SOに期待する2つのこと「僕が意識していたのは『人を知る』ことです」 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2021/09/28 11:03

《現役引退》南ア撃破の“10番”小野晃征が次世代SOに期待する2つのこと「僕が意識していたのは『人を知る』ことです」<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

2016年度、サントリーのシーズン全勝に貢献した小野晃征(左)。筑波大に在学したまま日本選手権決勝に出場したパナソニックSO山沢拓也をねぎらった

 小野は、14年間にわたった自身のプロ生活をサポートしてくれたNZオークランドに本社のあるマネジメント会社「ヘイロー・スポーツ(Halo Sports)」に10月1日付けで入社。自宅のあるクライストチャーチを拠点にしながら、NZ選手の日本移籍を、あるいは日本選手のNZを中心とした海外挑戦をサポートする業務につくという。

「日本で活躍できる外国人選手には共通点があります。日本の文化をリスペクトする、チームの歴史、文化、企業の文化を知り、リスペクトする。そんな、相手の文化に対してオープンマインドな資質を持った選手を日本に紹介したい。いい選手が日本に来てくれれば、選手にとっても日本にとってもいいこと。そのために、僕の経験を次の世代に役立てたい」

「体が小さい中でやってきましたから」

 サントリーからサニックスに戻って迎えた昨季は膝の内転筋の損傷が続き、出場したのはわずか3試合。4月にチームの活動縮小が宣告され、直後に臨んだプレーオフではトップチャレンジの近鉄に敗れてシーズンが終了したが、小野はベンチにも入れなかった。さらにオフに入ってからのトレーニングでも再び受傷した。

 振り返れば、15年W杯のあとはケガに見舞われ続けた。16-17年はトップリーグから日本選手権まで全試合で背番号10を着てサントリーをシーズン全勝に導いたが、最後の4試合は肩を負傷したままプレーしていた。そのオフに肩を手術して復帰したが、その後は腕を骨折、顔面の陥没骨折……復帰まで数カ月を要するような大きなケガが続いた。

「アンラッキーなケガもありましたけど、その前の10年間大きなケガがなかったのはラッキーだったわけだし……まあ、体が小さい中でやってきましたから」と小野は笑った。

 サニックスの活動縮小、リーグワンの3部スタートは「関係ない」という。契約ももう1年残っていた。だが、練習にも試合にも出られない自分がプロ選手としてチームにいるのは望ましくない。そして、日本のラグビーがリーグワンに再編され、スーパーラグビーも再編するこのタイミングは、新しい仕事に飛び込むチャンスだと思った。

「タイミングが来たんだな、と思いますね。子どもも小学校にあがるし」

 海を越えて遠距離交際を続けた妻・エルイーズさん、長女モエさん(4)、長男・仁航さん(にこ・11カ月)とは、すでに拠点をクライストチャーチに移した。

 NZと日本、両方の文化を知り、両方のラグビーを楽しみ、日本のラグビーを新たな水準に導いた、笑顔の似合う小柄な司令塔。両国ラグビーの架け橋としてのチャレンジが始まる。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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