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「石川祐希、やっぱりすごいわ」満身創痍のアジア選手権で見せた圧倒的な存在感…でも「まだまだ実力不足」と自己評価が厳しい理由 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byTakahisa Hirano

posted2021/09/23 11:03

「石川祐希、やっぱりすごいわ」満身創痍のアジア選手権で見せた圧倒的な存在感…でも「まだまだ実力不足」と自己評価が厳しい理由<Number Web> photograph by Takahisa Hirano

東京五輪に続き、アジア選手権でもキャプテンとして存在感を発揮した石川祐希

「バーレーンに1セット取られてしまうゲームをしていたら、やはり世界では勝って行けないと思います。今、重要なのは『個々が責任を持ってプレーすること』で、オリンピックに出たメンバーはそれができていたと思いますが、後から入ってくるメンバーもそれをやってほしいな、と。

 なかなか簡単なことではないですけど、僕とコートに入っている時は(自分の姿から)感じてくれればいいと思いますし、いない時もそういうプレッシャーじゃないですけど、年齢に関係なく責任を芽生えさせていくのはこの先、必須だと感じています。そういう面も含め、このアジア選手権はいい意味で挑戦になる。結果とともに個々の能力、自立、自信を全員が感じてくれればいいなと僕自身は思っています」

  まぎれもなく、リーダーたる姿。自覚と責任、覚悟が伝わってきた。

山内が明かすリーダーの姿、清水は苦笑い?

 学生時代までさかのぼれば、石川がキャプテンをつとめた経験は何度もある。日本代表でもエースとして点を取るばかりでなく、19年のワールドカップなど数々の大会でチームをけん引する姿を見せ、気づいたことは臆さず発言してきた。

 だが今季、日本代表のキャプテンとなり、石川はより強くチームを引っ張る姿勢を打ち出すようになった。そう明かすのは石川と同じく14年から日本代表に選出され、東京五輪にも出場した山内晶大だ。

「大会前や試合後、何を目指すのか、何が悪かったのか。選手同士でミーティングをする機会が結構ありました。僕はもともと人前で自分の意見を言うのが苦手だから、指名されると困るタイプなんですけど、今回(のオリンピック)ではこう思う、こうしたほうがいい、と祐希が最初にバシッと言う。それぐらい、常にガツっと引っ張るキャプテンでした」

 五輪の期間中では試合前後に選手間でミーティングを開き、石川が中心となって確認事項や気づいたことを共有し合った。周囲にも意見を求める中、石川に「何かあればお願いします」と決まって最後に声をかけられたのが清水邦広だった。苦笑いと共に振り返る。

「年長者だから、と気を遣って最後に振ってくれるんですけど、いつも『ありません』って(笑)。石川が言うことが的確過ぎて、僕が言うことなんて、ないんですよ」

【次ページ】 試合後に感じた「言葉の強さ」

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