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「実は緊張していた」ロナウドが復帰戦で2得点の離れ業、“赤い悪魔”を復権へと導けるか<“1995年のフリット”なみの存在感> 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2021/09/19 17:02

「実は緊張していた」ロナウドが復帰戦で2得点の離れ業、“赤い悪魔”を復権へと導けるか<“1995年のフリット”なみの存在感><Number Web> photograph by Getty Images

12年ぶりにユナイテッドに復帰したC・ロナウド。いきなり2ゴールと圧巻の活躍を見せた

ロナウドの帰還が実現も、不安は中盤中央

 ロナウドは9月14日のCLでも先発し、ヤング・ボーイズ相手に先制した。出場試合数をレアル元守護神のイケル・カシージャスと並ぶ大会歴代最多177試合に伸ばし、すでに最多記録を持つ大会得点数を通算135点とした。

 ところが、その前半13分のゴールがキックオフから6タッチ目でしかなかったように、35分にDFアーロン・ワン・ビサカが退場を命じられる前から、ユナイテッドの1トップは孤立傾向にあった。

 4年ほど前のプレミアリーグで、ハダーズフィールド(現2部)を率いてユナイテッドを下した過去を持つデイビッド・ワグナー監督の下、攻守に積極的なヤング・ボーイズに手を焼かされた。

 逆転負けはリンガードの不用意なパスが招いたものだが、強豪と呼ぶに相応しい支配力に欠ける中盤中央の心許なさが気になった。ロナウドの帰還が実現した後も、今夏に最も必要だった補強は中盤中央。故障中のスコット・マクトミネイがまだ成長段階でもあり、フレッジが消化不良のまま移籍4年目を迎えているセンターハーフのポジションに強さを加えることに、手をつけるべきだった。

「マンチェスター・ユナイテッドこそが自分の居場所」

 昨季はグループステージで敗退し、今季は黒星スタートになったCLとは違い、プレミアの長丁場を走り抜くのは難しそうだ。ジョゼ・モウリーニョ体制下で、ヨーロッパリーグとリーグカップの2冠を達成した2017年以来となる今季の主要タイトル獲得は、国内カップ戦が最も現実的と思われる。

 ロナウド自身は、ユナイテッドでの前回FAカップとリーグカップで合わせて3度の優勝を経験済みだ。そうでなくとも欧州主要リーグで計7回、CLでも5回の優勝経験者にすれば、マイナーなタイトルの類にすぎない。

 だが、今回の移籍で想起させられたチェルシーでのフリットは、選手兼監督で達成した1997年のFAカップ優勝を、のちに「ミランでのヨーロピアン・カップ(現CL)初優勝と同じくらい大切な思い出だ」と語っている。チェルシーにとっては、26年ぶりの主要タイトル獲得を意味する優勝だった。

 復帰決定直後、「マンチェスター・ユナイテッドこそが自分の居場所。そこで勝ちたい」と述べたロナウドも、イングランドの愛するクラブで、強豪としては長い4年間の無冠に終止符を打つことになるのであれば、今季後半戦でのカップ戦優勝にも特別な喜びを覚えるのではないか?

 もちろん、来夏こそ新ボランチ獲得が見込まれる帰還2年目に、プレミアとCLでも真の優勝候補として復活を目指すユナイテッドによる逆襲開始の号砲として。

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