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〈W杯最終予選も招集〉原口元気、新天地での現地評価がとてもいい… 「高い技術レベル、ゴール前での怖さを持っている」 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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photograph byJFA/AFLO

posted2021/09/02 17:02

〈W杯最終予選も招集〉原口元気、新天地での現地評価がとてもいい… 「高い技術レベル、ゴール前での怖さを持っている」<Number Web> photograph by JFA/AFLO

新天地ウニオンで高く評価される原口元気。日本代表9月シリーズでも存在感を発揮してほしい

「彼のような走力がある選手は……」

 こちらをちらっと見たフィッシャーは、スイスなまりのドイツ語で丁寧に答えてゆく。

「原口は試合を通じて何度もスペースに走りこんでくれた。足を止めることなく走り続けてくれた。いくつかのアクションで不運もあったのは確かだが、相手がボールを持った時にすぐプレッシャーをかけてくれるなど非常にいいプレーを見せてくれたと思う。素晴らしい仕事だ。後半左サイドにポジションを変更しても問題ない。彼のような走力があり、疲れを見せない選手はチームにとって貴重だ」

 ウニオンはハードワークとチームワークが何より重視されるチームだ。どのポジションでも攻守にインテンシティの高いプレーを続けることが求められるわけだが、中盤センターの選手はそれに加えて、ゲームの流れを読んで自分達が有利になる状況を作り出せるかが重要だ。

 昨シーズンはロベルト・アンドリヒとグリシャ・プレーメルという屈強なフィジカルを持つ2人がダブルボランチを組むことが多かったが、アンドリヒはレバークーゼンへ移籍し、プレーメルは筋肉系の負傷で出遅れている。そのためフィッシャーはアウクスブルクから補強したラニ・ケディラ(元ドイツ代表サミ・ケディラの弟)をアンカーに配置する3-3-2-2システムをここまでメインで起用。原口はインサイドハーフでプレーしている。

 この試合ウニオンはアンカーでプレーするケディラの周りにできたスペースを、ホッフェンハイムのクロアチア代表FWアンドレイ・クラマリッチに上手く使われ、チャンスを作られてしまっていた。

情報収集と処理能力がとても高い

 そうした状況に対応したのが原口だった。

 ケディラ近くまで絞ることで相手がプレーするスペースを消し、自分サイドの相手選手にパスが出たら一気に距離を詰めてプレスをかける。何度も何度も首を振り、周囲をスキャンしていく。

 この試合でも得点には結び付かなかったが、元ドイツ代表MFセバスティアン・ルディからのパスを予測して見事なインターセプトからチャンスを演出し、翌節ボルシアMG戦では相手のミスパスからのカウンターでタイミングよく右サイドを抜け出し、ゴール前の様子を適切に把握した上での高精度クロスでニコ・ギーセルマンのヘディングシュートをアシスト。

 こうした情報収集とその処理能力の高さは、ハノーファー時代に様々なポジションをしていたことと無関係ではないのではないだろうか。

【次ページ】 2シーズン前に原口が話していたこと

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