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なぜ青学“伝説のマネージャー”は神野大地と五輪を目指した?「箱根のような経験をマラソンでもさせてあげたい」 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byYuki Suenaga

posted2021/07/06 11:01

なぜ青学“伝説のマネージャー”は神野大地と五輪を目指した?「箱根のような経験をマラソンでもさせてあげたい」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

青学大の箱根連覇“影の立役者”高木聖也さん。現在は、大学の後輩でプロランナーの神野大地をサポートしている

 しかし、結果はまさかの「途中棄権」。レース後に、高木さんは「なぜ、こうなったのか説明がつかない」と複雑な胸中を吐露していた。つづくびわ湖毎日マラソンにもサブ10を目指して臨んだが、10キロ過ぎから遅れはじめ、またしても目標は達成できなかった。

 こうしてふたりの3年目の戦いが終わった。

「神野とやってきた3年間は早かったですね」

「神野とやってきた3年間は早かったですね。最初の2年は、半年以上合宿でアフリカにいましたし、国内合宿も入れるとほぼ家にいなかった。ただレース結果を含め、いろんな気づきを得ました」

 厳しい現実に向き合った3年目を終え、二人三脚は4年目の新たなスタートを切っている。神野は、今年4月から浜松に拠点を移し、藤原コーチの下で練習をしている。結果を出すために神野自身が判断し、移住して強くなるための環境を作った。高木さんにも変化があった。

「この1年は新型コロナがあり、現場も離れて、いろいろなことを考える時間が増えました。今後、自分がどうしていきたいのか。改めて陸上界に身を置いてみて、何かできることがあるんじゃないかなって」

 大学時代からの付き合いや神野のサポートをしながら生まれた陸上つながりを活かして、ここ数年は陸上界のトップランナーとディスカッションをする機会が増えた。いろんな話をしていくうちに、少しずつ自分のやるべきことが見えてきた。

「僕は、陸上競技や選手の価値は高いと思っていますし、だからこそトップ選手には今以上に輝いて欲しい。彼らからもこうしたい、こういうことを考えているという話を聞くんですが、それをどのように形にしていくのかがわからないと。協力してくれる人もいないし、そもそも誰に相談していいのかも分からないという意見も聞きました。でも意志があるのに行動に移せずにいるのは残念ですよね。そこは僕がやれることと、ニーズがマッチしているところなのかなと。

 選手やチームと企業や自治体、地域を繋げて、社会に対して価値を提供していくことで、一緒に陸上競技や選手の価値を高めていく。そういうことをやっていきたいなと思っています」

市民ランナーとして「走る世界」に戻ってきた

 高木さん自身も走る世界に戻ってきた。マラソンをスタートし、3月には非公認ながら2時間33分のタイムを叩き出し、市民ランナーとしてトップクラスの走りを見せた。

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