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岡崎慎司35歳が挑んだ“スペインでの2年間”「ヨーロッパで引退する覚悟じゃないと、見返すことはできない」 

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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posted2021/06/02 17:02

岡崎慎司35歳が挑んだ“スペインでの2年間”「ヨーロッパで引退する覚悟じゃないと、見返すことはできない」<Number Web> photograph by Getty Images

5月22日に今季最終節を終えて、2部降格が決まったウエスカ。岡崎慎司はクラブを去ることを自身のSNSでいち早く報告した

 10年にも及ぶ欧州での選手生活はいばらの道だった。「アジア人、日本人として下に見られている」という想いを何度も味わった。自国の選手が優遇されるのを肌で感じた。ワールドカップでの屈辱もある。でも、だからこそ、日本人としての誇りがパワーになった。

 現地の言語を身につける重要性を今は説くが、以前はその必要性をあまり感じていなかった。それは「日本人として」という想いの強さも原因だったかもしれないと笑う。

「僕がドイツ人だったら、イギリス人だったら、スペイン人だったら、ブラジル人だったら、きっと扱いが違っていたと思う」

 そう感じながらも言語を身につけて、融合したいと思わなかったのは、子供じみているかもしれないが、日本人という強いこだわりがあったからだろう。

 だからこそ、35歳になった今、欧州に残り、欧州で再度華開くチャンスを追求し続けたいと願うのだ。

だから、岡崎は欧州で挑戦し続ける

 欧州の選手マーケットは年齢には非常に厳しい。

 加齢によって負傷も増えた。自身も年齢を重ねたことのデメリットを実感しているだろう。

 コロナ禍で冷え切った移籍マーケットで、新チームを探すのは、過去にないほど困難であることもわかっている。

 それでも、岡崎は欧州で挑戦し続ける。ストライカーとしての居場所を手繰り寄せるために。

「見返したい」

 彼はよくそう口にする。かつての指揮官、チームメイト、サポーター……きっとそういう人たちを「見返したい」のだ。

 だけど、きっと、一番見返したいのは、自分自身なのかもしれない。弱気になったあの日の自分を。

 そして、未来の自分のために。意地を貫く。年齢という重い荷物を背負い、さらなる茨をかき分けながら。

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