箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
箱根駅伝の“中間テスト”「優勝候補は?」「どこが好調なの?」 1位は駒澤、2位は青学、では3位は……?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2021/06/02 11:02
関東学生対校選手権、通称・関東インカレは、箱根駅伝と並ぶ非常に重要な大会である
今回、出場がなかった上級生は、5月の日体大記録会5000mで主将の飯田が13分58秒32で自己ベストを更新。絆記録会では、岸本大紀(3年)が5000mで13分58秒18の自己ベストを出しており、調子を上げている。昨季は故障で1年を棒に振ったエースが回復してくれば他校にとっては脅威、チームにとってはこれほど心強い選手はいない。
4月のトラックシーズンの幕開けから関東インカレまで28もの自己ベストが生まれ、チーム全体が活気づいている。田澤(駒大)のようなスーパーな選手、ゲームチェンジャーと呼べる選手はまだ存在しないが、選手層の厚さでは、駒大と双璧をなしており、2年ぶりの箱根王座奪回に向けて今のところ順調だ。
3位・早大)27分台の選手が3名の快挙
早稲田大学は今シーズン、怖い存在になりそうだ。
昨年12月の日本選手権10000mで中谷雄飛(4年)が27分54秒06、太田直希(4年)が27分55秒59とともに27分台を出すと、トラックシーズン幕開け直後の4月、井川龍人(3年)が27分59秒74と自己ベストを10秒以上も縮めるタイムを出した。早大は同一チームで初めて10000m27分台の選手3名を擁することになり、駒大や青学大、東洋大が成し得なかった快挙を達成した。
その刺激を受け、いい状態で関東インカレに突入したが、目立ったのはエース格の3人ではなく、菖蒲敦司(2年)だった。
1500m決勝では、ラスト200mで三浦龍司(順大)に先行するもホームストレートでかわされ、2秒の差をつけられて2位。だが、3000m障害では先行する服部壮馬(順大)をラストスパートで追い抜き、8分45秒95で優勝。スピードとタフさが求められる2種目で存在感を示した。
菖蒲は、昨季の全日本大学駅伝5区で駅伝デビューを果たしたが、箱根駅伝は未経験。「5000m、10000mで結果を出したいと思っているので3障は今回まで」と視線をすでにロングと箱根駅伝に向けている。箱根5区19位の諸冨湧(2年)は(1部)3000m障害で7位、箱根6区8位の北村光(2年)は8位と、ともに粘り強さを発揮し、好調をアピールした。
1500mでは、高校歴代4位タイの3分44秒62を持つ石塚陽士(1年)が3分58秒38で6位入賞を果たした。1年生ながら物怖じせずに積極的に走る姿勢は、今後の伸びしろを感じさせた。
ハーフでは、佐藤航希(2年)が62分53秒で6位入賞。「日本人トップになる」という強い気持ちで臨んだが達成できず、悔しさを見せたが、よみうりランド内の起伏のある厳しいコースでの結果だけに、秋の駅伝に向けて大きなアピールになっただろう。
10000mは、エースの中谷、太田が出走したが、中谷は足のトラブルで終盤トップ争いから脱落し、28分38秒45で8位。太田は28分47秒39で13位に終わり、ともに入賞はならなかった。中谷は「足に痛みが出て、連戦で疲れている中でのレースだったけど、余裕はあった」と悪い中でも自分なりの手応えを感じているようだった。全日本1区6位の辻文哉(2年)は29分29秒02の21位だったが、順位ほど走りは悪くはなく、これから箱根エントリーに絡んできそうな気配だ。