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「東京六大学で“5位”は最下位を意味する」とは言わせない…“東芝を苦しめた”東大野球部、今年は弱くないぞ

posted2021/04/07 18:00

 
「東京六大学で“5位”は最下位を意味する」とは言わせない…“東芝を苦しめた”東大野球部、今年は弱くないぞ<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

東芝戦に先発し、5回無失点に抑えた東大の投手・井澤駿介

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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Sankei Shimbun

 東京六大学の各校が、関東の社会人野球チームの胸を借りる「社会人・東京六大学対抗戦」は、毎年この時期、週末の3日間を使って、神宮球場で行われる。

 大学生が社会人の胸を借りる……と言っても、そこは「東京六大学」である。社会人野球の先輩たちを手こずらせたり、時には圧倒してしまうこともあるから、社会人側も油断できない。「真剣勝負」の3日間となる。

 初日の第2試合、東京大学が東芝(川崎市)と対戦した。

 少なからず心配していた。一昨年の都市対抗野球ではベスト4に進出。準決勝を闘ったレギュラーが、この日のスタメンに6人も7人もその名を連ねて、東大の秀才たちに襲いかかる……そんな場面を想像していたのだが、数時間後に「それは失礼なことだった」とお詫びすることになる。

「いつもの東大…ではない」

 試合前の練習。キャッチボールを見て、「いつもの東大だな」と思った。

 それがその直後、シートノックが始まって、とんでもない思い違いだとわかった。

 内野手がエラーをしない。捕球→送球の連続動作の中で、ストライクスローが繰り返される。

 併殺プレーになっても、ボールのつなぎに乱れが出ない。ノックの打球を丁寧に扱ってはいるが、決して慎重過ぎるわけじゃない。遊撃手からの「球出し」など、大胆でスピーディーなフットワークと体の回転を使っている。

 選手たちが、イメージ通りの動きを体現できている……つまり、上手いんだ。それでいて、上手いふりをするような嫌らしい動きやしぐさがない。

 きっと、繰り返し、繰り返し、練習して身につけたのだろう。それを素直に想像できるピュアでシンプルなフィールディングだ。

内野手で昨季のレギュラーは1人だけ

 一塁手・井上慶秀(4年・県立長野・175cm92kg・右投右打)
 二塁手・水越健太(4年・明和・175cm78kg・右投右打)
 三塁手・大音周平(4年・湘南・173cm80kg・右投右打)
 遊撃手・中井徹哉(3年・土浦一・173cm66kg・右投左打)

 今日のスターティングメンバーを並べただけでも、昨季のレギュラーは大音選手だけ。ベンチ入りはしていても、実戦経験は浅い選手ばかりで、中井遊撃手は「外野手登録」だった。

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