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なでしこ籾木結花は、なぜ森喜朗氏の“女性差別発言”を「これ、いい方向に進むんじゃないか」と考えたのか 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byGetty Images

posted2021/03/14 06:01

なでしこ籾木結花は、なぜ森喜朗氏の“女性差別発言”を「これ、いい方向に進むんじゃないか」と考えたのか<Number Web> photograph by Getty Images

なでしこジャパンでも活躍する籾木結花はサッカーを通じて日本を変えたいという思いを抱き続けている

「世界を変えていくのは一人ひとり」

 そして自身の役割と考えるところを、あらためてこう語った。

「世界を変えていくのは一人ひとりだと思っていますし、自分もその中の一人です。自分が答えを知っているわけではないし、もちろん自分が出した答えが正解とは限りません。アスリートとしてやるべきことは、自分が経験したこととか自分が何か新しい気付きを得たり直面して思ったことを、問いとして発信すること。

 日本にもいろいろな人がいるとはいえ、自分が育ってきた環境の中にいたのはほとんどが同じ文化で育ってきた人でした。そうするとどうしても周りは自分と『同じ』と考えやすくなります。違うものに触れにくいのは島国のデメリットかもしれません。コロナの影響で海外に行くのもより難しくなっている中、海外にいるアスリートとして『あなたはどう感じましたか』と問いかけて、考えるきっかけにしていければ。そこから変えていく一歩を踏み出せると思っています」

 2021年に注目すべき女性アスリート7人のうちの1人として、大坂なおみは籾木を選んだ。その大坂がマスクから発信したメッセージも、ただ押し付けるのではなく問いかけのニュアンスがあり、きっかけをもたらそうとしているように感じられる。

 籾木もまた、問いを投げかけることで動きを生み出そうとしている。

 サッカーに打ち込むプレイヤーという立場を通じて、籾木結花は一人ひとりが幸せになれる未来へと動いていく。

(【初めから読む】大坂なおみ選出“注目の女性アスリート”なでしこ籾木結花が持つ違和感「サッカーは男性がやるものという意識を…」へ)

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