Number ExBACK NUMBER

25歳女王・大山千広が“ボートレース界のトップを狙い続ける”理由「自分が男だったらって思うこともあるけど…」 

text by

長田昭二

長田昭二Shoji Osada

PROFILE

photograph byBOATRACE振興会

posted2021/03/13 11:01

25歳女王・大山千広が“ボートレース界のトップを狙い続ける”理由「自分が男だったらって思うこともあるけど…」<Number Web> photograph by BOATRACE振興会

2018年の最優秀新人、2019年のレディースチャンピオン獲得など輝かしい経歴を持つ25歳の女王・大山千広選手

「それだけじゃありません。反射神経、瞬発力、動体視力……そのどれもが男子のほうが優れている。女子の不利な面は、階級が上がるほど強く感じますね。でも、それを上回る技術を身に付けたいとも思う。だから混合戦では男子レーサーの乗り方を身近で見て、勉強に徹しています。

 男女の差はもちろんあるけれど、レーサーにとって何よりも大切なのは『考えて動ける技術』だと思うんです。自分自身を分析して、要領よく冷静に動くための考え方を身に付けている人が強くなれるスポーツだと思うので……。そういう意味で、私なんてまだまだですよ」

「挑戦できるのは女子レーサーの特権だから」

 男子レーサーとの差を強く感じる日々でも、誠実にボートレースと向き合い続ける。だが、女子レーサーの壁は他にもある。結婚や出産に対する葛藤だ。

「将来のことはやっぱり考えます。レーサーとして上を目指せば家庭に充てられる時間は短くなるし、家庭を優先すれば出場機会が減って獲得賞金も減っていく……。そこが女子レーサーにとって最大の悩みですよね。でも、いま私と同じ世代の女子レーサーに『男子には負けたくない!』って頑張っている選手がたくさんいるんです。彼女たちと一緒に努力して、いい結果を残していきたい」

 前述の通り、2019年に大山は「レディースチャンピオン」の覇者となった。23歳6カ月でのレディースチャンピオン優勝は史上最年少の快挙だ。

 しかし、彼女は「高評価に値する実績ではない」と言い切る。謙遜ではない。自分より上の選手はいくらでもいることを日々のレースで、肌身で実感するからこその畏怖だ。いまは、自分の中にある伸びしろを探すことに全力で取り組む時期だと捉える。

「せっかく男子と女子が一緒に走れる競技なので、その中でトップになりたい。男子みたいなターンは女子には無理なのかな……なんて思うことはあるけれど、無理と決まったわけでもないし、そこに挑戦できるのは女子レーサーの特権だから」

 最後は、力強くこう締めくくった。

「決して夢ではないと思うんです。だって女子のほうが男子よりも負けん気が強いし、あきらめの悪さも持っている。どこのレース場でも練習の時、最後まで調整したり試運転をしている女子レーサーは多いですよ」

(【続きを読む】トップボートレーサー・守屋美穂32歳が明かす“絶頂期に産休を取るという選択”「正直言って悩みました」へ)

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

関連記事

BACK 1 2 3
大山千広

他競技の前後の記事

ページトップ