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【ドリームチーム選出】FF誌編集局長が語る舞台裏「ロナウドがクライフに勝ったのはひとつのサスペンスだった」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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posted2021/02/24 17:01

【ドリームチーム選出】FF誌編集局長が語る舞台裏「ロナウドがクライフに勝ったのはひとつのサスペンスだった」<Number Web> photograph by JMPA

バロンドール受賞6回。メッシは名実ともに史上最高のFWだ

――リストを見たとき編集部の工夫が見て取れました。WMシステムにも4・2・4システムにも対応できるポジション別リストで、どの時代の選手もこれでうまく括れるからです。

フェレ 基本的な考え方はチームをどうやってプレーさせるか、オフェンスに重きを置いた選考にするにはどうすればいいかだった。その結果として3人のDFと4人のMF、3人のFWというシステムに落ち着いた。サッカーの歴史を鑑みたとき納得のできるシステムで、守備も考慮に入れているが、全員が攻撃的な傾向を持つものが選ばれるようにした。

次世代バロンドーラーの条件

――バロンドールに話を戻しますが、キリアン・ムバッペやアーリング・ハーランドなど若い世代が出てきていますが、彼らはまだトップ5やトップ3に入るには至っていません。

フェレ たしかに彼らはまだ早い。そのひとつうえの世代――アントワン・グリーズマンやエデン・アザールらもまだバロンドールまで到達していない。その後にムバッペやハーランド、マーカス・ラッシュフォードらのさらに若い世代が控えている。彼らは今まさに台頭のさなかにあり、バロンドールを熱望している。

 たとえばムバッペは1度だけ獲得するのではなく、メッシのように複数回獲りたいと願っている。ムバッペは傲慢な男ではないがとても野心的で、何ごとにも真摯で19歳の若さで世界チャンピオンになった。『キャリアのいいスタートが切れた』と語っているが、同時に大きなプレッシャーも感じている。そしてここまで成し遂げたことだけではバロンドールに値しないとよく自覚している。

 他方で数字のうえでは、彼はメッシとロナウドにすでに近づいている。本物のゴールマシンになり、昨日のクラシコ、対マルセイユ戦(2月7日、アウェーでPSGが2対0で勝利)でもゴールを決めた。怪我さえなければ年間40ゴールをコンスタントにあげるだろう。それがまずベースとなる基準で、そのうえでビッグタイトルを獲れるかどうか。フランス国内のタイトルだけでは十分ではない。クラブまたは代表でヨーロッパチャンピオンになる。どちらも十分に可能だ。

 さらにその過程で、素晴らしいパフォーマンスを発揮する。ここまではそれはなかった。ムバッペだけに限らず、ハーランドやラッシュフォードにとっても同じだ。決して簡単ではないが、メッシとロナウドに多少の衰えが見える今は、彼らには大きなチャンスであるかも知れない。ただ、そうはいってもふたりをトップ3から蹴落とすのは簡単ではない。本気で努力しないと不可能であるのは間違いない。

【次ページ】 受賞の決定打はスペクタクルなゴール

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