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リンクマンながら“3つのポジション”を担ったローター・マテウスの自負「誰かに感化されることはなかった」 

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アレクシス・メヌーゲ

アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge

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posted2021/02/21 17:01

リンクマンながら“3つのポジション”を担ったローター・マテウスの自負「誰かに感化されることはなかった」<Number Web> photograph by L’Équipe

90年のW杯イタリア大会ではドイツ代表の主将を務め優勝に貢献。選手として絶頂期だった

マテウス 8番をどう解釈するかは国よりもチームが採用するシステムによる。たとえばレアル・マドリーはモドリッチとクロースがリンクマンでカゼミーロが6番だ。バイエルンはヨシュア・キミッヒが中央の守備的MF(6番)でレオン・ゴレツカが8番、トーマス・ミュラーが10番だ。だがキミッヒが数的優位を作るために上がれば、ゴレツカが6番の位置に下がってバランスをとる。

 インテルではほとんどの場合ふたりのリンクマンを配置した。ニコラ・ベルティが左、僕が右でジャンフランコ・マッテオリが6番だった。1980年代のバイエルンは今日と同じ戦術システムを採用し、(代表的な顔ぶれでは)オラフ・トーンが6番で僕が8番、セーレン・レアビーが10番だった。プレーのシステムがどうであろうと、リンクマンの役割に大きな違いはない。

――あなたは若い世代にも影響を与えましたか?

マテウス 長く現役生活を続け、それなりの結果も残してきた僕は、8番として何かと引き合いに出される存在だったと思う。それについては誇りを感じている。

リンクマンは監督に向いているか?

――現役時代にリンクマンだった選手は、優れた監督になれるのでしょうか?

マテウス 他のポジションに比べたらその可能性は高い。例も枚挙にいとまがない。ユベントスのアンドレア・ピルロやインテルのアントニオ・コンテ、レンジャーズのスティーブン・ジェラード、チェルシーのフランク・ランパード(2021年1月25日解任)、アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ、マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ……。ディディエ・デシャンもフランス代表監督を務める前にユベントスとモナコ、マルセイユで素晴らしい仕事をした。

 だが、そうではない例もある。現役時代のユルゲン・クロップはディフェンダーだったが、今や世界最高の監督のひとりだ。要は中心ラインでプレーした選手のほうが、ゴールキーパーやサイドバックだった選手よりも監督としてのキャリアを築きやすい。その点は間違いない。

 

【前回を読む】「パンツァー」と呼ばれた屈強なMF、マテウスが語るリンクマンの重責【ドリームチーム選出】

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