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遠藤保仁「可能性が有る限り諦めない」 日本代表のレジェンドは名門磐田を“たった2カ月半”で変えた 

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望月文夫

望月文夫Fumio Mochizuki

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posted2020/12/18 17:00

遠藤保仁「可能性が有る限り諦めない」 日本代表のレジェンドは名門磐田を“たった2カ月半”で変えた<Number Web> photograph by J.LEAGUE

10月に期限付き移籍で加入して以来、別格の存在感とリーダーシップを発揮してきた遠藤保仁

 さらに、ホームで行われた10月25日の群馬戦では移籍後初ゴールを決め、プロ入りから23年連続ゴールというリーグ最長記録を樹立。試合も3-1と快勝して「期限付きでの移籍だけど、ジュビロのために良い仕事をすることしか考えていない」と貫禄を示した。

その必要性を感じた「アウェーの水戸戦」

 上昇気流をつかんで迎えたのが11月4日、首位徳島とのアウェーでの大一番だった。遠藤の磐田デビュー時は20あった首位との勝点差も、この試合に勝利すれば12まで縮小し、J1昇格への可能性がさらに広がる試合だった。ところが、直前に主力選手の新型コロナウイルス感染疑いなどもあって1-3と完敗。大逆転でのJ1昇格の目はほぼなくなった。同25日の琉球戦は、3-0で6戦ぶりの勝利を手にしたが、上位チームの結果によって今期のJ1昇格の可能性は潰えた。

 落胆するファンやサポーターは「もっと早く遠藤が加入していれば、状況は大きく変わったはずだ」と補強が遅かったことを挙げ、「来季も残ってくれればJ1昇格も見えてくる」と契約延長を求める声が続出した。その思いに応えるように鈴木政一監督は「チームが魅力的なサッカーを続けていけば、残ってくれると思う」と磐田としては遠藤残留を望む姿勢を明確に打ち出していた。

 その必要性を改めて痛感させられたのは、12月2日のアウェーの水戸戦だった。磐田加入から13戦連続先発出場を続けていたレジェンドが初めてベンチスタート。指揮官は「残り試合をケガのないように、このタイミングで休ませた」と説明した一方、「(遠藤不在時に)サッカーがどういう形になるか」と話すなど、来季のチーム作りのシミュレーションも兼ねた試みだった。結局チームは主導権を握れないまま1-2で敗戦。鈴木監督も「改善しないといけないところが多く見えた」と遠藤加入後2度目の黒星から感じ取ったものがあったようだ。

 それからほどなくして遠藤の磐田残留濃厚とのニュースが流れた。

遠藤が広げた『可能性がある限りあきらめない』という姿勢

 とはいえ、遠藤残留によって磐田に残された課題がすべて払拭されるわけではない。リーダーとして期待される遠藤も、来年は41歳を迎える。来季もJ2は、2月下旬に開幕して12月まで42試合の長期戦となるだけに、遠藤の休養時に他の選手たちがどんなパフォーマンスを見せられるかがカギになる。

【次ページ】 すべては2カ月前の「遠藤加入」から始まった

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