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澤村拓一や菅野智之、西川遥輝&有原航平はMLBで活躍できる? 過去の日本人成績から推測すると… 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byJjji Press/Nanae Suzuki

posted2020/12/08 11:03

澤村拓一や菅野智之、西川遥輝&有原航平はMLBで活躍できる? 過去の日本人成績から推測すると…<Number Web> photograph by Jjji Press/Nanae Suzuki

メジャー挑戦の意向があることを示した澤村拓一と菅野智之。果たして2021年、彼らのピッチング姿をどこで見られるか

秋山と筒香は今季、気の毒だった

 打者の場合は「NPBでこれだけの成績を残したから通用するだろう」というバックデータがほとんどない。

 MLBで打者として成功したNPB出身選手は3000本安打を打ったイチローと、30本塁打を1回、100打点を4回、3割を2回記録した松井秀喜だけだろう。辛うじて井口資仁、岩村明憲、青木宣親くらいがレギュラーで働いたと言えようか。

 今年、MLBに挑戦した筒香嘉智、秋山翔吾は気の毒の一語だった。

 試合数はわずか60試合、対戦チームは例年と異なり両リーグの同一地区のチームだけ。ダブルヘッダーは7イニングス制、そしてすべて無観客試合。そんな環境でいきなり野球をして結果を出さなければならない。

 筒香も秋山もNPBではゆるぎないレギュラー選手であり、不調であっても試合に出続けながら調整することを許された選手だった。

 しかしMLBでは数試合結果が出ないとスタメンを外される。また、打順や守備位置もめまぐるしく変わる。代打での出番もある。そんな中で結果を残さなければならなかった。

 2人の来季の活躍にも期待したいが、いずれにせよ打者の場合、現在のMLBではNPBの成績はそのまま通用するとは言えない。

フライボール革命による大きな変化

 ひとつには21世紀に入ってMLBの野球が激変したことがある。

 イチローがデビューしたころは、安打、盗塁で勝利に貢献する「スモールボール」も1つの考え方として存在した。しかし近年は「フライボール革命」によって「長打がなければ話にならない」という価値観が支配的になっている。

 イチローがMLBに移籍した2001年、両リーグの平均の本塁打数は600打席当たり17.5本だった。これが2019年には22本になっている。

 少し大げさに言えば、今では1番打者でも9番打者でも、外野手でも内野手でも捕手でも、本塁打が打てなければお話にならない、というスタイルになっている。

 西川遥輝は守備範囲の広い外野手であり、通算打率は.286。当代屈指のリードオフマンだ。そして盗塁王3回、盗塁成功率は.864と極めて高い。MLBでも韋駄天として活躍することはできるかもしれない。

 しかしながら本塁打数は9年で51本。年平均は5.7本。MLBに行けばさらに減少するだろう。足は抜群に速く走塁技術は高いが、本塁打はほとんどない外野手をMLBは欲するか、という視点は確かにある。

【次ページ】 広島・菊池も2019年MLBを目指したが

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