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【日本シリーズ】ミスター“謎のロダン発言”にMVP松井秀喜、城島健司vs工藤公康…「ONシリーズ」逸話 

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posted2020/11/21 11:02

【日本シリーズ】ミスター“謎のロダン発言”にMVP松井秀喜、城島健司vs工藤公康…「ONシリーズ」逸話<Number Web> photograph by Kyodo News

2000年の日本シリーズは王貞治監督と長嶋茂雄監督の「ONシリーズ」として日本列島を沸かせた

<第5戦>
G 010 010 220|6
H 000 000 000|0
勝    高橋尚(1勝)
敗    若田部(1敗)
本塁打[G]高橋由2号(2回1点若田部)、江藤2号(5回1点若田部)、村田真1号(7回2点若田部)

<第6戦>
H 001 101 000|3
G 004 050 00X|9
勝    メイ(1勝1敗)
敗    永井(1敗)
本塁打[H]城島4号(4回1点メイ)、[G]松井3号(3回2点渡辺正)

 2勝2敗のタイに戻したことで、シリーズの流れは巨人に渡っていった。第5戦は当時ルーキーだった高橋尚成が先発マウンドを任されると、2安打12奪三振と圧巻の投球内容。シリーズ初登板での初完封のおまけつきだった。また打線も高橋由、江藤、村田真のホームランが出るなど、攻守ともに噛み合った。

 そして巨人を栄光に導いたのは背番号55、松井秀喜だった。

 松井は第1戦の1回に推定飛距離140mのバックスクリーン弾を放って華々しく開幕を告げた。もちろんダイエーも渡辺正和、吉田修司の両サウスポーを当てて“4番を消す”というシリーズ制覇への鉄則を取った。それでも松井は第3戦に星野順治から再び特大のHRを放つなど存在感を見せた。

 迎えた第6戦、3回に先制された巨人だったが、直後の攻撃で仁志、清原のタイムリーで逆転すると、打席には松井。王監督は渡辺正に早くもスイッチしたが、松井は決め球のシュートを左中間の一番深いところに叩き込んだのだ。

「松井さんが渡辺さんから打ってくれたのが、ほんとうにうれしい」

 このホームランについて高橋由が語った言葉は、巨人の誰もが感じていたところだろう。松井は打率.381、3本塁打、8打点の活躍でMVPを獲得した。

第1戦、工藤相手に放った一撃は……

 2年連続日本一を逃したダイエーだったが、第6戦の4回にホームランを放つなど最後まで奮闘していたのは城島だった。

 シリーズ4本塁打は最多タイ記録で、第1戦では前年のシーズンまでバッテリーを組んでいた工藤と対戦。工藤はかつての“相棒”について「第1打席が勝負です。できれば1球か2球で終わりたい」と話していたが、2ボール1ストライクの4球目、見送ればワンバウンドになりそうな球を城島はすくい上げた。

「あれはたまたま。本当にたまたまなんです。ただインコースに来ることだけはわかっていました」

 長打力に加えて配球を読む力もつけていた城島。まさに最強クラスの“打てる捕手”として成長しつつあることを示した。敢闘選手賞を獲得した城島らダイエーナインが再び日本一に輝くのは3年後、阪神との日本シリーズでのことだった。

 なお2000年の日本シリーズは、福岡ドームで日本脳神経外科学会が開催されたため、21~23日までの3連戦、2日空けて26~29日の4連戦の日程で行われた。今年も都市対抗野球が開催されるため、第1戦と第2戦、第6戦と第7戦が東京ドームではなく京セラドーム大阪で行われるのも、不思議な巡り合わせなのかもしれない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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