どう考えてもこの場面での交代は異例

　何よりもデラロサはチームの絶対守護神である。今季は故障での途中離脱はあったが、セーブシチュエーションで登板して同点ないし逆転されるBS（ブロウン・セーブ）は1回だけ。しかもその1回も逆転は許さずに、その裏にチームがサヨナラ勝ちを収めて白星を手にしている。

　どう考えてもこの場面での交代は、異例といえるものだったのである。

「最善策の中で行ったけれども、というところですね」

　結果的にはその大江が青木を歩かせ満塁とすると、次打者・山田哲人内野手を迎えたところでスイッチした田中豊樹投手が押し出し四球で追いつかれた。そのまま1対1の引き分けで試合を終えた原監督は、試合後に大江へのスイッチをこう説明し、多くを語ろうとはしなかった。

何のために、何を試していたのか？

　ただ、試していたのは明白だ。

　何のために、何を試していたのか？　

　それがあと1カ月と迫っている日本シリーズの舞台であるとすれば、この交代も納得のものなのである。

　復帰1年目の昨年はシーズンを通して戦力を把握してきた。その中でシーズン中に抜擢してきた若手選手を、手探りで日本シリーズでも起用した。

　しかし第2戦では山本泰寛内野手の失策から松田宣浩内野手の3ランを浴び、第3戦に先発させたルーキーの高橋優貴投手は3回も持たず、3番手の戸郷も3安打を浴びて沈んだ。

　そして第4戦の7回1死一、二塁から二塁へのゴロを処理した山本が、またも併殺を焦って坂本に悪送球。結果的にはこのミスで巨人は決勝点となる4点目を奪われ、シリーズを落とした。

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