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実は残留率「56.6%」? プレミア昇格組フルアム、WBA、リーズの強みと弱点を探る 

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三重野翔大

三重野翔大Shodai Mieno

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posted2020/10/03 20:00

実は残留率「56.6%」? プレミア昇格組フルアム、WBA、リーズの強みと弱点を探る<Number Web> photograph by Getty Images

ビエルサ監督が率いて話題のリーズ。彼らに注目が集まるがフルハムとWBAにも注目だ

超攻撃的スタイルの軸はフィリップス

 次のフルアムとの昇格組対決を4-3で制し、シェフィールド・U戦に1-0で勝利したリーズの強みは、やはりビエルサ流の攻撃サッカーにある。

 キーマンはアンカーのカルビン・フィリップス。長短のパスを使い分け、時にロングパス一本でビッグチャンスを作り出すことができる。その一瞬はまるでかつてのプレミアリーグを見ているようだ。もっとも兎角前に蹴るキック&ラッシュというよりは、走った選手に正確なロングフィードを合わせる「ラッシュ&キック」と呼ぶほうがいいかもしれない。

 そのフィリップスのパスに抜け出すのがエルデル・コスタとジャック・ハリソンの両サイドハーフ。FWのパトリック・バンフォードが相手守備陣をかき乱し、右サイドバックのルーク・アイリングの攻撃参加や、中盤のマテウシュ・クリヒが最前線に加わったりと、多彩で複合的な攻撃パターンがいくつもあるのはまさに「ビエルサ流」というべきか。

 なにより「守から攻への切り替え」が早い。ボールを奪ってすぐ、状況によってはパス1~2本で敵陣ゴール前まで運び、かつ選手が次々に走りこんでくる攻撃スタイルは、今後もプレミアのディフェンス陣を苦しめることだろう。

「攻から守の切り替え」に課題が

 一方で課題なのが「攻から守の切り替え」だ。ここまでのリーズは、ボールロスト後すぐに相手に対し人数をかけてプレッシングをかける守備をとっている。ハマれば即攻撃に転じるのだが、ハマらなければどんどん後手後手に回ってしまい、簡単にゴール前まで運ばれてしまう。

 直近のシェフィールド・U戦も、14本打たれたシュートのうち9本はペナルティボックス内のものだ。GKイラン・メリエの再三のビッグセーブがなければ、クリーンシートにはならなかった。

 また新加入のロビン・コッホは未だリーズのサッカーに馴染めていない。2試合連続PK献上は別としても、横に並ぶアイリングとの連携ミスや、セットプレーでマークに付けていなかったりといった場面が散見される。昨年はドイツ代表デビューを飾るなど実力は折り紙付き。昨季レンタルで活躍したベン・ホワイト(現ブライトン)の穴埋めは間違いなくできるはずだ。

 とはいえ攻から守への切り替えはチーム全体がプレミアの攻撃スピードに慣れれば、コッホは試合数をこなせば、いずれ時間が解決してくれる問題だろう。これらが解消されたとき、リーズが大化けする可能性は十分にあるといっていいだろう。

昇格組がすべて残留は28年で何回ある?

 プレミアリーグは開幕してもうすぐ1カ月を迎える。3連敗のフルアムと1分2敗のWBA、そして2勝を挙げたリーズと、昇格組はそれぞれ対照的なスタートを切った。

 昇格1年目のクラブにとって残留は至上命令。この先続く長い戦いで、それを達成することはできるか。

 ちなみにプレミアリーグ28年の歴史で、昇格1年目の全クラブが残留を果たしたのはこれまで3回。あくまで机上の空論に過ぎないが、ピッチ上のパフォーマンス次第では3者揃って残留の道もあり得る。

 もし彼らがそれ以上に躍進を遂げ、上位~中位をかき乱すことができたなら――今季のプレミアリーグもまた、見応えたっぷりの熱い展開が待っていることだろう。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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