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横浜F・マリノスに10年ぶりに帰還。
水沼宏太の優しいクロスに見惚れる。

posted2020/08/28 20:00

 
横浜F・マリノスに10年ぶりに帰還。水沼宏太の優しいクロスに見惚れる。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

横浜F・マリノスのジュニアユース、ユース出身の水沼。今年、10年ぶりのクラブ復帰でもすぐに馴染んでいる。

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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J.LEAGUE

 自分に合わせろ、か、人に合わせる、か。

 どちらかが正解というわけではなく、どちらか一方に偏る二者択一でもない。

 どちらも持ち合わせるなかで「人に合わせる」に見惚れてしまうクロッサーがいる。小野伸二のエンジェルパスならぬ、それは水沼宏太のエンジェルクロス。受け手に優しく届けてはゴールに導いている。

 30歳になった水沼は今季、10年ぶりに古巣の横浜F・マリノスに復帰した。

「合わせる」にはある程度、時間も掛かるはず。だがこのチームに以前からいたかのようにアンジェ・ポステコグルー監督のスタイルに馴染み、己の特長をチームに染み込ませている。

 アシストの数は早くも「4」。出場時間371分だと92.75分に1本の計算となる。先発フル出場を果たしていればほぼ1試合に1本ペースでアシストしている計算になる。

今季初勝利となる決勝点をアシスト。

 ここに2つのエンジェルクロスを紹介したい。

 1つは7月8日のホーム、湘南ベルマーレ戦。後半途中から出場し、2-2で迎えた後半42分だった。

 右サイドにいる味方からボールを受け取った彼はトラップで前に持ち出して中央にオナイウ阿道がいることを確認する。

 フワリと浮かせたボールはオナイウの前にいるディフェンダーの頭上を越してピンポイントで落下。ジャンプ一番、強烈なヘディングシュートがゴールネットに突き刺さり、今季初勝利となる決勝点をアシストした。

【次ページ】 お互いに「ここに来る」「そこへ出す」が通じ合う。

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