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本当なら今季のバロンドールだった!?
レバンドフスキ独占インタビュー。
text by
アントワーヌ・ブーロンAntoine Bourlon
photograph byAlexis Reau/L'Equipe
posted2020/08/22 18:00
今季の欧州サッカー界で最も実績をあげたと評価の高いロベルト・レバンドフスキ。バロンドールの最有力候補だったが……。
「考える前に身体が反応するようにする」
――プロになってから何得点したか覚えていますか?
「いや、まったくわからない」
――478点(2020年6月20日現在)です。
「それは悪くないな……」
――今や得点は機械的な作業になっていますか?
「試合はそう簡単ではない。特に疲労が蓄積しているときはそうだ。ゴールの90%は頭の働きと集中力で決まる。疲れると考えるスピードがどうしても落ちる。すると時間もスペースも限られる。ゴール前では、どうするかを決断するための時間はせいぜい0.1秒か0.2秒だ。
だからこそ練習で徹底的に突き詰める。動きもシュートも無意識にできるようになるには練習しかないからね。右足も左足も関係ない。常にどんな事態にも備える。考える前に身体が反応するようにする。そこで時間をかけて考えるならすべてが台無しだ。身体と脚が一体となって、自然と最適な動作をおこなうようにする。それこそが僕の仕事の一部だ。
ただ、試合に勝とうとするときには、そうしたことはあまり関係がない。様々なディテールが違いを作り出すからで、どれだけ集中して注意深くディテールに配慮できるかが、勝負を決める鍵になる」
「チームのために石や水を運びたいと常に思っている」
――(ストライカーとしての)本能についてはどう思っていますか?
「それもまた重要だ。だが本能に加えて、練習での膨大な積み上げが必要だ。才能や本能だけでどうにかなるものではないだろう。努力を怠れば進歩はありえない。
だが、本能が働くときもある。反射神経や集中力、頭から脚へと伝わる刺激……。試合では何がどうなるかまったくわからない。だからこそ準備しておく必要がある。練習による準備の積み重ね以外に、どうしてそんなことをしたのか説明できないことがしばしばある」
――週にどのぐらいの時間をゴール前で過ごしているのでしょうか?
「とても長い時間であるのは間違いない。練習の80%から90%はそうだと思う。でも僕は、試合のあいだずっとゴール前でボールを待つタイプではない。
チームプレーがすきだし、自分の動きで新たな状況を作り出したい。ひとりふたりのディフェンダーを引きつけてスペースを作り、チームメイトに貢献する。その後でボールを受けて、何かの付加価値を与える。たしかに僕の最大の特徴はゴールかも知れないけど、チームのために石や水を運びたいと常に思っているよ」