Jをめぐる冒険BACK NUMBER

カズにデル・ピエロ、叫ぶ青嶋アナ。
セリエAダイジェスト伝説と遊び心。 

text by

飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

PROFILE

photograph byAtsushi Iio

posted2020/07/20 07:00

カズにデル・ピエロ、叫ぶ青嶋アナ。セリエAダイジェスト伝説と遊び心。<Number Web> photograph by Atsushi Iio

取材に応じてくれた青嶋アナ(左)と当時プロデューサーの村社淳氏。彼らの情熱が伝説のサッカー番組「セリエAダイジェスト」を生み出した。

待望のカズ初得点とインタビュー。

 村社にとって忘れられないのが、'94年12月6日深夜の放送回である。

 その2日前に行われたセリエA・12節で村社の、番組スタッフの、いや、日本のサッカーファンの待ち望んだ瞬間が訪れた。

 カズのセリエA初ゴール――。

「日曜のナイトゲーム、サンプドリアとのジェノバ・ダービーで、(トーマス・)スクラビーの落としをカズが決めてね」

 言うまでもなく、セリエAにおける日本人初ゴールだ。フジテレビの独占インタビューを受け、懸命に喜びを抑えて答えるカズの表情を、村社ははっきりと覚えている。

 もっとも、この日の放送が村社にとって忘れられないのは、カズのゴールだけが理由ではない。

デル・ピエロのスーパーゴールも。

『セリエAダイジェスト』はこの日、カズのゴール以外にもうひとつ、伝説のゴールを放送しているのだ。そのゴールは、ジェノバ・ダービーと同じ日に行われたユベントスvs.フィオレンティーナ戦の終了間際に生まれた。

「(アレッサンドロ・)デル・ピエロのゴールね。後ろから来たボールをアウトサイドのボレーで合わせて。解説の都並さんがひっくり返ってたよ、こんな選手がいるのかって」

 カズは'94-95シーズンを戦い終え、21試合1得点の成績を残してJリーグに復帰した。そのため、放送2年目の'95-96シーズンはイタリアに日本人選手が不在となり、『セリエAダイジェスト』の幕はいったん2年で閉じることになる。

 その最終回のことだ。このシーズンのセリエAで印象に残った試合や選手について、数人のJリーガーにインタビューをして、番組で流した。その中のひとりに、偶然にも『セリエAダイジェスト』復活のカギを握る男がいた。

 それが、当時19歳の中田英寿だった――。

(後編は関連記事『中田vs.名波の大雨、ドイツW杯決勝。セリエAダイジェストの神髄とドラマ。』でお楽しみください!)

BACK 1 2 3 4 5
三浦知良
ロベルト・バッジョ
村社淳
青嶋達也
都並敏史
奥寺康彦
清水秀彦
田嶋幸三
中田英寿

海外サッカーの前後の記事

ページトップ