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J1札幌の大卒トリオの即戦力っぷり。
今季は“勝ち点3”と“未来“の融合を。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byJ.LEAGUE

posted2020/07/11 11:40

J1札幌の大卒トリオの即戦力っぷり。今季は“勝ち点3”と“未来“の融合を。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

鹿島戦後、札幌の竹林強化部長と喜びを分かち合うMF高嶺。

実力と経験を兼ね備える即戦力。

 今、札幌は新たな局面にいると感じる。ペトロヴィッチ監督は「苦しいチーム状況」と表現したが、裏を返せばそれは未来への希望の光を表している。今季獲得した大卒の3人はまさに欠けていたピースとなる即戦力だった。

 金子は前橋育英高時代から独特のリズムを刻むドリブルとアジリティー、そして左足の精度を誇るアタッカー。FW、シャドー、ボランチ、ウィングバックと複数のポジションをこなし、日本大学ではさらにプレーの幅を広げた。3人の中でいち早くJデビューを果たし、昨季は特別指定選手としてリーグ6試合、ルヴァンカップ8試合に出場。早くもミシャサッカーへの適応を見せつけている。

 札幌の下部組織出身で筑波大から加入した高嶺は、ボランチとして攻守に関わり続けられることが魅力。昨季は金子と同じく特別指定選手としてルヴァンカップに2試合出場した。札幌U-18時代には1学年上に進藤亮佑が、1学年下には菅がおり、「2人がスタメンで主軸として戦っている姿は本当に刺激になるし、僕は遅れていると常に思わせてくれる。ボランチは宮澤さんと深井(一希)さんと、絶対的な存在が揃いますが、ドリブルを駆使して攻撃に絡めるのは僕の特徴だと思うので、そこを磨いて勝負していきたい」と、明確なプレー像を持ってプロ1年目に臨んでいる。

 履正社高、大阪体育大を経て札幌にやってきた田中は2人と比べてプロデビューは遅い。ただ東京五輪代表候補として多くの試合を経験し、E-1選手権ではA代表デビューを飾った逸材だ。183cmの高さも魅力だが、足元の技術と展開力、寄せの早さを併せ持ち、さらにはボランチとCBの両方をこなせるユーティリティー性も兼ね備える。

来季も有望株が続々、描く未来予想図。

 クラブとして狙いを定めた「即戦力補強」は今季だけに留まらず、来季ではすでに当コラムでも紹介した2m超えGK中野小次郎(法政大)、昨シーズンに大学3冠を手にした明治大の10番FW小柏剛という、有望選手の加入を決めている。

 未来予想図を描くと、金子と小柏の2シャドー、それぞれウイングバックも考えられる。田中と高嶺はボランチだけではなく、3バックに組み込まれる可能性もある。札幌フロントが明確な狙いをもって大卒選手の獲得に動いていることはよく分かる。

【次ページ】 新しい可能性を模索しながら勝つ。

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