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Jに舞い戻ったタイ代表ティーラシン。
清水で2ケタ得点、西野さんとW杯。 

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望月文夫

望月文夫Fumio Mochizuki

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photograph byJ.LEAGUE

posted2020/03/21 11:40

Jに舞い戻ったタイ代表ティーラシン。清水で2ケタ得点、西野さんとW杯。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

開幕戦でいきなり結果を出したFWティーラシン。新生エスパルスの顔となれるか。

ドウグラスに代わる大砲の一発。

 キックオフ後、1万7000人を超えるファン、サポーターで埋まったアイスタを驚かせたのは、立ち上がりから試合の主導権を握り、一方的に押しまくるオレンジ軍団の勇姿だった。

 そして迎えた後半2分、東京五輪代表候補のDF立田悠悟がカットしたボールを3トップの一角である西澤健太が前線のティーラシンへ。落ち着いて放った右足シュートは、今季リーグ戦でのチーム第1号となる待望の先制点となってゴールマウスに吸い込まれた。

「広島時代にアウェーで来たアイスタは、スタンドの声援やスタジアムの雰囲気が凄く良いと思ったけど、そのサポーターが自分のゴールを喜んでくれたことがうれしかったし、ホーム初戦で決められてホッとした」

 ドウグラスに代わる大砲の一発に、スタンドは大歓声に包まれた。

 残念ながら終盤に逆転を許し、試合には敗れたが、ブーイングかと思われたスタンドは、選手たちに拍手を贈った。昨年優勝争いを演じたFC東京を苦しめた攻撃的サッカーのお披露目に加え、新エースへの今後の期待が込められていた。

「清水ではもっと得点できると思う」

 今回のJリーグ再加入の理由について問われたティーラシンは、真っ先に「世界的に有名なリーグで自分の実力を知りたかったし、ここで自分のレベルをもっと上げたい」と語ったが、理由は他にもいくつかあった。

 1つは2年越しの目標達成だ。2年前の広島では32試合出場6得点を記録したが、目標とした数字は2ケタ得点だった。「Jリーグは技術もスピードもあってレベルが高い。初めて来た広島ではフィットするまでに時間が必要だった」と当時を振り返り、「だけど今は慣れているから、清水ではもっと得点できると思う」と、今季の2ケタ弾達成に自信を覗かせる。

 さらに、期限付きで加入した広島時代と違い、今回の清水は完全移籍での加入となり、まさに退路を断っての挑戦にも本気度が窺える。そして、その先にある目標は指揮官も連日のように繰り返しているチームのタイトル獲得である。

「自分にとってJリーグは以前からの夢の舞台。そのピッチにまた立てる機会を与えてくれたエスパルスのために、ここから貢献していくのが自分の一番の仕事だから」

 覚悟の決意に目を輝かせた。

【次ページ】 日本でプレーする選手が増えれば。

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