「楽しいですね。やっぱりリツとこうやって……」

　前節のウィレムII戦で1試合外れただけだったが、こうして改めて90分ピッチに立ったことで、板倉の中には充実感があったようだ。

「本当に今日こうやって90分出してもらいましたけど、しっかりリーグ戦で、こうやって出ることに意味があるなと改めて感じました。次もまた出れるように頑張りたいと思います」

　そしてピッチの上に立ってこそ、感じることのできる「楽しさ」がある。

「前回アウェイで対戦したときに目立っていた10番（スティーブ・ベルフワイン）と9番（ドニエル・マレン）は今日はいませんでしたけど、でも、PSVの選手は全員が力があると感じます。個人で打開できる選手が揃っていたので、そういった意味ではすごいやりがいというか、楽しさはありました」

　何より、勝手知ったる堂安との対戦は、とりわけ楽しかったようだ。

「リツがボールを持つと、チャンスを作られるんじゃないかという怖さはもちろんあります。ただ、そこでやらせないようにするのが僕の仕事だと思っています。最後の方にリツが右サイドに来たときは、絶対カットインからのシュートだけはやらせてはダメだなと思いながらやっていました。

　でも、楽しいですね。やっぱりリツとこうやって、一緒に試合に出て戦えるのはすごく楽しいことです。次はリベンジというか、次に対戦した時は絶対勝てるように、また個人として成長したいな、と思いました」

　3月12日。欧州中を席巻しているコロナウイルス感染症への対策として、オランダ1部リーグの3月中の試合を全て中止することが発表された。「本当にサッカーの世界の状況はすごく早く変わるもの」という長谷部の言葉が、まさかこんな形で現れるとは板倉も想像だにしなかっただろう。

　このピンチをいかにしてチャンスに変えるか……「残りの9試合しっかり全部出るつもりでやりたいと思っています」という板倉の言葉を信じて待ちたい。