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覇権奪回に挑む広島・佐々岡監督。
岡田明丈への期待と田中広輔の復調。

posted2019/12/27 12:00

 
覇権奪回に挑む広島・佐々岡監督。岡田明丈への期待と田中広輔の復調。<Number Web> photograph by Kyodo News

4連覇を逃した広島は佐々岡真司新監督の下、覇権奪回を目指す。

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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 年末年始恒例、NumberWeb版“プロ野球・ゆく年くる年”。全12球団の今シーズンの振り返りと新シーズンへの期待を綴る短期集中連載シリーズです。
 第2回は来季から佐々岡真司新監督を迎える広島東洋カープ。今季、Bクラスに沈んだチームの建て直しに必要となる柱は誰が担うのか。

 25年ぶり優勝から3連覇という輝けるときを過ごした広島が2019年、分岐点を迎えた。

 2016年オフに引退した黒田博樹氏に続き、新井貴浩氏が引退。丸佳浩はFAで巨人へ移籍した。迎えたシーズンは4連覇を逃しただけでなく、Bクラスとなる4位でクライマックスシリーズにも出場できなかった。

 3連覇の礎を築いたといえる主柱が抜けた影響は戦力ダウンという、目に見えるものだけではなかった。大型連勝と大型連敗を繰り返した不安定な戦いが示した通り、チームの弱さが感じられた。

 大黒柱が抜けた分、柱の数でカバーしたかったところだったが、柱と期待した主力候補の選手たちに負傷や離脱が相次いだのもまた、3連覇まで駆け抜けた反動だったかもしれない。

脱却できなかった主力への依存。

 強力広島打線の切り込み隊長を担った田中広輔が開幕から調子が上がらず、得点力低下の一因となった。また中軸が期待された松山竜平も思うように調子が上がらず、頭部死球の影響もあって前半戦は打率2割を切る誤算も重なった。

 投手陣では3連覇した3年で計76セーブを挙げた中崎翔太が開幕から切れを欠いた。セーブ数が伸びず、失点を重ねた。

 田中広は8月に「右膝半月板部分切除手術」、中崎は11月に「右膝半月板部分切除手術」をそれぞれ受けた。3連覇に貢献してきた代償ともいえるかもしれない。

 就任5年目となった緒方孝市前監督も、3連覇に貢献した主力選手への依存から、思うように脱却できなかった印象がある。先述した開幕から精彩を欠く中崎を抑えとして起用し続け、一向に調子の上がらない田中広も4月末(当時打率1割6分8厘)まで1番で起用。連続試合出場記録への配慮も影響してか、6月19日までスターティングメンバーから外そうとはしなかった。

 当然、2人には苦難を乗り越えてきた実績がある。目の前の壁を乗り越えればさらに成長した姿を見られるかもしれない。新たな大黒柱と期待したからこそ、乗り越えて欲しかった……。そんな心情も見えた。

【次ページ】 4年ぶりに味わう早いオフ。

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