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早稲田ラグビー部“Reborn”計画。
明治に敗れたのは無駄ではなかった。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byNaoki Ishii
posted2019/12/24 18:00
SNSで自らのラグビー論を発信していることでも知られる岸岡智樹。フォロワーは他校にも大勢いる。
早明戦に続き、スクラムが問題。
ただし、Rebornするための課題も浮き彫りになった。
早明戦に続き、スクラムが問題である。この日、早稲田のスクラムのコラプシングによる反則は実に5つを数えた。
スクラムに関して相良南海夫監督に質問すると、こんな答えが返ってきた。
「この先、自分たちの目標が達成できるかどうかのポイントになるでしょう。問題がどこにあるかも分かっているので、準決勝に向けては調整というよりも、しっかりと組み込んでいきたいと思います」
問題の在り処は、早明戦でも崩されたスクラム左サイドの部分だろう。
ところが、試合が終わって早大FWからは悲観的な言葉は聞かれなかった。どちらかといえば、困惑していた。
佐藤友重コーチは「ウチが組み勝ってました」と話し、スクラムの最前線、フッカーの森島大智も「レフェリーとのコミュニケーションで苦労しました」と話しつつ、日大戦についてどこに課題があったかを解説してくれた。
「日大のFWがレフェリーが指示したポイントよりも、組む前から引いていた感じでした。今日、早稲田としては組んでから『ワン・ツー・スリー、シンク(沈む)』というテーマを持っていて、組んでからワン・ツー・スリーとプッシュする段階で、もうすでにスクラムが崩れてしまって……」
スクラムには採点競技的な要素がある。
早大側としては日ごろのスクラム練習で手ごたえを感じているのだろうが、それが試合で発揮できないジレンマが感じられた。
ラグビーにおいて、スクラムには採点競技的な要素がある。「印象」が重要なのである。
レフェリーは前の試合のスクラムの映像を参考にする。その意味で、5つの反則を犯した早稲田スクラムは、準決勝で対戦する強力FWを持つ天理大に対して、戦う前から「ディスアドバンテージ」があると考えた方がよい。
1月2日の準決勝、Rebornのためには、序盤で組まれるスクラムが大きな意味を持ちそうだ。