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「母国、ゴルフ、マドリー」が物議。
ベイルとレアルの愛は尽きたのか。 

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吉田治良

吉田治良Jiro Yoshida

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posted2019/11/30 09:00

「母国、ゴルフ、マドリー」が物議。ベイルとレアルの愛は尽きたのか。<Number Web> photograph by Getty Images

ベイルは筋金入りのゴルフ好きで知られる。ラウンドする様子をマドリディスタ達はどんな気分で見つめるのか……。

ジダンは擁護しつつ突き放す?

 クラブに安売りするつもりはなく、冬の移籍は見送られる公算が大きいが、来夏にはついに放出との見方が強まっている。

 中国リーグ、さらに一部ではジョゼ・モウリーニョが監督に就任した古巣トッテナムへの復帰や、宿敵バルセロナへの禁断の移籍もまことしやかに囁かれているが、これだけサポーターとの関係がこじれれば、致し方ないのかもしれない。後釜にパリ・サンジェルマンのキリアン・ムバッペを熱望する声も、日増しに高まっている。

「ベイルの周辺には雑音が多すぎる。残りのシーズンはブーイングが続かないことを願う」

 ソシエダ戦後にそう語ったジダンだが、その一方で突き放すようなこんなコメントも残している。

「私は拍手を望んでいるが、サポーターにも彼らがやりたいことをやる権利がある」

嫌われ者だが拍手も起きている。

 はたして、このままベイルは罵声とともに、嫌われ者のレッテルを貼られたままマドリーを去ることになるのだろうか。

 ソシエダ戦の74分、ブーイングを背に右サイドのハーフスペースに猛然と走り込んだベイルのセンタリングを起点に、ルカ・モドリッチのゴールが生まれる。その瞬間、両こぶしを握って小さくガッツポーズをしたベイルのもとに、カゼミーロとフェデリコ・バルベルデが駆け寄り、抱擁する。

 終了間際、今度はみずからエリア内に進入してシュート性の鋭いクロスを蹴り込むと、観客席からまばらながらも拍手が起こった。

 愛情の火種は、まだわずかながら残っている。

 ベンゼマが不動のエースとして君臨し、ロドリゴという新星が台頭すれば、アザールも急ピッチでコンディションを上げてきた。ベイルの居場所はもうここにないと、そんな風に囁く者もいる。

 しかし、たとえば2017-18シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)ファイナルで決めたバイシクルシュートのように、ベイルにはベイルにしかできない芸当があるはずだ。

【次ページ】 PSG戦でヒーローになり損ねた。

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