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2019年ドラフト査定!<セ編>
奥川恭伸指名のヤクルトが最高点。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byKyodo News

posted2019/10/18 12:00

2019年ドラフト査定!<セ編>奥川恭伸指名のヤクルトが最高点。<Number Web> photograph by Kyodo News

ヤクルトから1位指名を受け、笑顔で受け答えする奥川恭伸。左は幼馴染で甲子園でもバッテリーを組んだ山瀬慎之助(捕手、巨人5位)。

上原を彷彿とさせる森下。

◇広島 80点

 重複が予想された森下暢仁(投手・明治大)を単独指名できたことが大きい。前肩がまったく開かない投球フォームは今指名選手の中ではナンバーワン。150キロを超えるストレートに多彩な変化球を交えたピッチングは大阪体育大学時代の上原浩治(元巨人)を彷彿とさせる。

 2位宇草孔基(外野手)は法政大の1番打者。守備ではスローイングに精彩を欠く面もあるが、クリーンヒットを打っても足を緩めない全力疾走は一見の価値あり。3位鈴木寛人(投手・霞ヶ浦高)は今夏の甲子園大会1回戦、履正社高戦では3回途中で降板したが、その試合を見た苑田聡彦スカウト統括部長が「外れ1位」と言ったほど、将来性を感じさせた。4位韮澤雄也(内野手・花咲徳栄高)など下位指名まで見てもチームの課題を見据えたいい指名をしたと思う。

◇中日 75点

 3球団が競合した石川昂弥(内野手・東邦高)の当たりクジを引き当てた。昨年の根尾昂に続く与田剛監督のくじ運の強さがチームの形を大きく変えようとしている。春から夏の成長を感じさせたのが夏の甲子園大会のあとに行われたU-18ワールドカップでのバッティング。木製バットを使用して、春は少なかったレフト方向へ引っ張る力強い打球が増えたのだ。とくに内角低めをキャッチャー寄りで捉える技術の高さには目をみはらされた。

 2位橋本侑樹(投手・大阪商業大)は140キロ台後半のストレートより、カーブやチェンジアップ系の変化球のキレに持ち味がある本格派。3位岡野祐一郎(投手・東芝)は青山学院大時代から指名が予想された完成度の高いピッチャーで、とくに評価されているのが制球力のよさ。4位郡司裕也は東京六大学リーグで上位に君臨する慶応大でマスクをかぶり続け、多彩な投手陣の持ち味を十分に発揮させている頭脳派キャッチャーだ。

奥川は1年目から2ケタ勝利を。

◇ヤクルト 90点

 1位で3球団が競合した奥川恭伸(投手・星稜高)を抽選で引き当てたのが何よりも大きい。キレ味抜群のスライダー、フォークボールなど精度の高い変化球を四隅に集めるコントロールに優れ、ストレートは最速158キロを誇る。

 この球速を裏付けるのが今夏の甲子園大会3回戦、智弁和歌山戦のピッチングだ。延長14回を投げ、ストレートは165球のうち78球。このストレートの「平均」球速が150.1キロという速さだったのだ。技巧的なピッチングが評価されながらこれだけレベルの高いストレートを投げ続けられるというところに無限の可能性を感じさせられる。高校生だが、1年目から2ケタ前後勝つ力がある。

 2位吉田大喜(日本体育大)、3位杉山晃基(創価大)も即戦力が期待される右腕だ。吉田は最速151キロのストレートで打者を押し込んでいく本格派、杉山はストレートが154キロを記録するが秋のリーグ戦では縦変化の変化球を多投するピッチングに見どころがあった。ともに先発型なので、今年のチーム防御率4.78(12球団中、圧倒的最下位)のヤクルトなら先発の枠に入りそうだ。

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