Number ExBACK NUMBER

武豊&ルメール両騎手「幻の表紙」。
あまりにカッコ良すぎるエピソード。 

text by

Number編集部

Number編集部Sports Graphic Number

PROFILE

photograph byYasuyuki Kurose

posted2019/10/08 08:00

武豊&ルメール両騎手「幻の表紙」。あまりにカッコ良すぎるエピソード。<Number Web> photograph by Yasuyuki Kurose

武騎手とルメール騎手「ちょっとした奇跡」のツーショット。武騎手のキャップをよく見ると……。

ミルコまで乱入して、まさかのスリーショット。

 希望が見えてきた。だがそのピンポイントの時刻にルメール騎手は戻ってきてくれるのだろうか……。やっぱり片山氏の心配が正しかったのだろうか。

 しかし「ちょっとした奇跡」は起きた。

 まさに7時20分。ほぼ同じタイミングで戻ってきた2人は、どちらともなく声を掛け合ってカメラの前にやってきてくれた。2人とも、ちゃんと我々の依頼を気にかけてくれていたのだ。

 心底安堵しながらカメラマン黒瀬氏の後ろからふと見た武騎手のキャップ。そこには「DEEP IMPACT」と刺繍があった。

 取材のテーマに合わせて、選んできてくれたに違いない。時間が合うかどうかもわからない撮影のために、なんという気づかいだろうか。まさに千両役者。そして、ディープへの深い思いも、改めて痛感させられた。

「ちょっとした奇跡」には続きがあった。ツーショット写真撮影中、通りがかったミルコ・デムーロ騎手が乱入。当代きっての花形騎手3人のスリーショットが撮れてしまったのだ。黒瀬氏は大興奮状態でシャッターを切りまくる。

 この「奇跡のスリーショット」も本誌「現役騎手が語る 秋競馬 私のベストレース」の扉ページとして掲載したので、ぜひご覧いただきたい。

スーパーカーの窓があくと。

「うまくいきましたねえ」と百戦錬磨の片山氏もホッとした顔を見せ、我々もいささかテンション高く栗東から向かった先は京都のカフェ「ドットエス」。武騎手邸も近いここで豪華対談の本番を行うのだ。

 豪雨が過ぎ去ってぐずつく空の下、我々がお店に向けて歩いていると、公道を走ってくる某スーパーカーが。このあたりであんな凄いお車に乗っている人はもしや……と凝視していると、ウィンドウがスルスルと開き、武騎手ご本人が!

「今から行くから」

 と手を挙げ、颯爽と走り去っていく。やることなすことかっこいい。

 ルメール騎手もスタイリッシュなスーツを着こなして登場し、朝とはまったく変わった雰囲気で、目論見通りに撮影は進んだ。バッチリポーズを決めた写真、2階の窓から手を振ってもらった少しお茶目な写真、真剣に語り合う表情……。充実したページができると確信した。

 フォーマルな姿の2人がディープインパクトの前にスッと並び立つ写真で、表紙を組んだ。「こういうのはけっこう久しぶりですね。これはいいですよ」とデザイナーも満足そうだ。

【次ページ】 「幻の表紙」になってしまったことへの回答は。

BACK 1 2 3 NEXT
武豊
クリストフ・ルメール
ディープインパクト

競馬の前後の記事

ページトップ