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巨人を優勝に導いた主将・坂本勇人。
圧倒的成績を生んだ「イチロー流」。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2019/09/22 11:50

巨人を優勝に導いた主将・坂本勇人。圧倒的成績を生んだ「イチロー流」。<Number Web> photograph by KYODO

5年ぶり37度目のセ・リーグ優勝を決め、大喜びでマウンドへ駆け寄る坂本勇人(中央)ら巨人ナイン。

「やっぱり体のケアが大事」

 もちろん後ろの3番に丸佳浩外野手が入ったことで、相手投手の攻め方が変わったことも大きいが、決してこの数字は偶然ではない。長い時間をかけて坂本が積み上げてきた努力の結果が、一気に爆発したシーズンでもあった。

 そうした技術的なレベルアップと同時に、もう一つ、坂本が今季のこの圧倒的な成績の理由をこう語ったことがあった。

「やっぱり体のケアが大事だってことじゃないですか。これまでは夏場が苦手で体重も落ちたりして、それに比例して成績も下がっていた。でも、今は試合が終わった後も家でストレッチをしたり、とにかく疲労を残さないようにしています。もちろん張りがあったり、そういうことはあるんですけど、しっかりとケアすることで試合を休むようなものとか、スイングに影響が出るようなものも少なくなっていると思います」

 19歳で一軍のレギュラー選手となって、ずっと第一線で活躍し続けてきた。ただ、試合後の夜の遊びの噂は絶えず、才能は凄いが、私生活の放蕩で潰れるのではないか、と危惧する声は絶えることはなかった。

初動負荷のトレーニングマシンが設置された。

 しかしいまは遠征先では若い選手を連れて外食することももちろんあるが、本拠地の試合が終わると東京ドームの選手食堂で食事を済ませてまっすぐ家に帰ることも多くなった。

 そしてそんなコンディショニングへの意識が球団をも動かしている。

 実は今季途中からシアトル・マリナーズのイチロー氏(会長付特別補佐)らが使用することで有名な初動負荷のトレーニングマシンが、坂本の進言で東京ドーム内に設置された。

 今春の沖縄自主トレでチームメートの山口俊投手に誘われて初体験。マシンを使って関節の可動域を広げて、筋肉の柔軟性を高めることでパフォーマンスの向上とケガの予防の両方に役立つことを実感したため、球団に掛け合い、6月に設置された。

【次ページ】 試合前と5回の終了後にマシンを使う。

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坂本勇人
原辰徳
読売ジャイアンツ

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