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日本ハムが3年連続“三つ星”評価。
同志に寄り添う「客セン」の対応術。 

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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photograph byKyodo News

posted2019/08/19 18:00

日本ハムが3年連続“三つ星”評価。同志に寄り添う「客セン」の対応術。<Number Web> photograph by Kyodo News

日本ハムのお客様センターは国内プロスポーツ球団では3年前に初めて、電話応対サービスに関する格付け調査で三つ星を獲得した。

返答に困る「たら・れば」の話も。

 サブリーダーのHさんは仕事を離れれば、ファイターズのファンである。笑いながら、明かす。

「落としどころが何もない、意見をいただくこともあります」

 ファンの方々が自己分析をした敗因などは時に的確でもあり、また投手交代のタイミングなど「たら・れば」の結果論でもある。相槌を打つ以外、返答のしようがない。

 前述したように、Hさんはコミュニケーターであり、自分自身がファンでもある。勝敗で一喜一憂もする。かなり激しい意見をいただくケースでは、感情を揺さぶられることもあるそうだ。ファンとして同じような忸怩たる思いもあり、ファイターズの一員であるから「身内」に対して、批判を受ければ当然の衝動である。そんな時は「ネガティブな対応は控えています。寄り添うようにしています」との要領で、乗り切るのだという。

 チーム関連だけではなく、チケットやグッズなど球団としてのオペレーション上の不備についての問い合わせもある。その際は、苦情や苦言を頂戴することになる。社としての対応、処理についての説明を的確に行い、基本的に憤慨していることが多い「お客様」への対処の矢面に立つことになる。

失敗を経て辿り着いた「一緒に笑うこと」

 シンプルな極意がある。Hさんは「笑う時は、一緒に笑ったりしています。それが、いいんです」と言う。やり過ごすような機械的で、無機質な対応がベストかと思いきや、意外だった。受話器の向こう側にいる、対面したことがないファンの方々と、心を通わせるのが納得してもらう手段として最適なのだそうだ。

 双方、顔も知らない、表情も見えない。

 それでもファイターズを思う、同志の1人である。チームへ注力する熱量は、同じである。また、球場に足を運んでもらい、グッズやチケットの購入もしてもらう「お客様」でもある。そこには感謝の思いを込めるのである。

 当時、入社1年目のころ、Hさんには、ほろ苦い記憶として刻まれている1つの応対があるという。

 ある選手の試合中の身だしなみなどについて、厳しく指摘を受けた。そのやり取りに嫌悪感を抱き、それが相手に伝わり、さらに怒りを増幅させてしまったことがあるのだそうだ。そんな経験も経て今、業務のスタンスを確立し、チームを統率しているのである。

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