ジダンのお気に入りとなれるか？

　玉乃氏もいきなりのトップチーム昇格については慎重ながら、この先、久保が“ジダン監督のお気に入り”になる可能性は十分にあると見ている。

「ジダンという監督は、良い意味で“可もなく不可もなくの選手”、“普通のことを普通にできる選手”が好きなんです。技術はあるけれど守備もサボらず、チームのために汗をかける（ルカ・）モドリッチのような選手に『10番』を与えるくらいですからね。

　ジダンは自分のチームに“王様”を求めてはいない。ハメス（・ロドリゲス）やベイルを積極的に起用しないのも、イスコに全幅の信頼を寄せないのも、個ではなく、なによりチームとしてエレガントに機能させることを最優先に考えているからでしょう」

「その点、久保くんはチームメイトの良さを最大限に引き出そうとする選手で、ピッチの中で必要以上に個をひけらかそうとはしませんからね。文句なしにBチームからトップチームに上がっていくのは、トーレスのようなフィジカルモンスターか、イニエスタのような圧倒的な技術を持った選手だと思います。

　ただ、もちろん2部Bで誰も文句を付けられないような結果を残すことは重要ですが、一方でジダンが率いる現在のマドリーに照らし合わせれば、そこまでスーパーな存在にならなくてもいいのかもしれません。

　どんな状況であっても、すんなりゲームに入って機能できるタイプ。言い方を変えると、2部Bでも1部でもチームの駒になれる使い勝手のいい選手を目指すのが、トップチームでレギュラーを勝ち取るための近道かもしれませんね」

スペイン語はジダンより上（笑）。

　そして玉乃氏はもうひとつ、久保がジダンのお気に入りになるかもしれない根拠を挙げている。それは、言葉の壁が皆無であることだ。

「なによりつらいのは、敵ではなくチーム内の差別なんです。その点、（9歳からバルサの下部組織でプレーしていた）久保くんのスペイン語はネイティブで、たぶんチームメイトもだんだんと彼を日本人として見なくなると思う。

　スペインの文化も理解しているから、きっといじめや差別の対象にもならないでしょうし、チームにすんなりと受け入れられるのは、それだけで大きなアドバンテージ。なにしろ、スペイン語に関してはジダンより上ですから（笑）」

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