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200m自由形で日本勢初の銀メダル。
松元克央と伸び悩みを打破した名将。 

text by

田坂友暁

田坂友暁Tomoaki Tasaka

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photograph byHiroyuki Nakamura

posted2019/07/25 11:50

200m自由形で日本勢初の銀メダル。松元克央と伸び悩みを打破した名将。<Number Web> photograph by Hiroyuki Nakamura

200m自由形で日本人初となる銀メダル獲得。東京五輪まで1年というタイミングで松元克央の成長は心強い。

名将との出会いが松元を変えた。

 松元に変化が訪れ始めたのは、2016年のカナダ・ウインザーで行われた世界短水路水泳選手権だった。

「最近、ようやく少しずつ自信を持ってレースできるようになってきました」

 そう話す松元は、男子4×200mリレーのアンカーで、引き継ぎながら200m自由形の短水路日本記録に近い記録をマークする。練習の成果がタイムに現れ始めたのである。

 そして翌2017年シーズンから、松元は名将・鈴木陽二コーチの元で練習することになった。努力が数字として残り始め、少しずつ自分に自信が持てるようになってきた最高のタイミングで訪れたこの出会いは、松元を大きく成長させることになる。

世界で戦う覚悟が成長を促した。

 2017年、日本選手権の200m自由形で3位に入った松元は、はじめて世界選手権への切符を手にする。リレーメンバーとしての選抜だったが、200m自由形の個人種目にも出られるチャンスを得た。

 ところが、結果は予選27位と惨敗。この悔しさが、松元の心に火をつけた。

「決勝の舞台で戦いたい」

 松元はとても素直で真面目な選手だ。だからこそいくら練習しても不安をぬぐいきれなかったり、結果が残せない自分自身が許せなくなっていく。だが、それは自分が目指すべき目標が明確になったとき、一直線に駆け抜けていける強さにもなる。

 2017年の世界選手権を経験したことで、松元の目標が“日本代表入り”から“世界で戦う”に変わった。

 師事する鈴木コーチも同じ。鈴木コーチの頭には、昔も今も世界一という言葉しかない。ふたりの目指すべき道が重なった瞬間だった。

【次ページ】 長所は“練習から逃げない強さ”。

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