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失点わずか1。堅守・広島に現れた
クリアをパスにできる男、吉野恭平。

posted2019/04/13 17:00

 
失点わずか1。堅守・広島に現れたクリアをパスにできる男、吉野恭平。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

城福浩監督の体制下で堅守を築き上げているサンフレッチェ。その中で吉野恭平が台頭しつつある。

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石倉利英

石倉利英Toshihide Ishikura

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 今季J1リーグで6節を終えて4勝2分け、同勝ち点のFC東京を得失点差で上回って首位に立つサンフレッチェ広島の特徴は、何といってもリーグ最少の6試合1失点という堅守。清水エスパルスとの開幕戦で30分に先制されて以降、510分間にわたってゴールを割らせていない。

 2年目の指揮を執る城福浩監督の下、昨季前半戦も首位独走の原動力となった堅守を維持する一方で、先発メンバーは大幅に若返っている。19歳のGK大迫敬介、20歳のMF松本泰志の存在が目立つが、20歳代前半の選手も多い。24歳のDF吉野恭平も、そのひとりだ。

 右に野上結貴、左に佐々木翔がいる3バックの中央に入り、的確なカバーリングとサポートで最終ラインを支えている。「危ないシーンは何度もあったので、上出来だとは思っていない」と本人が語る通り、相手のシュートがクロスバーに当たるなどの幸運もあった。

 それでも「6試合で1失点は、なかなかできないこと。うれしいです」と手応えもつかんでいる。

広島でなかなか出番をつかめず。

 2014年途中、19歳のときに東京ヴェルディから加入。182cmの長身ながら高い技術レベルを誇り、DFやボランチの定位置争いに食い込むことが期待されていた。

 しかし、当時の戦術への戸惑いや負傷離脱もあり、同年と'15年はJ1リーグ出場ゼロ。'16年にJ1デビューを果たしたものの、同年7月にJ2の京都サンガへ期限付き移籍する。

 新天地では加入直後からボランチに定着し、リーグ戦13試合と、J1昇格プレーオフ準決勝に先発フル出場。期限を延長して残留した2017年、チームは昇格争いに絡めなかったが、自身はリーグ戦34試合に出場し、押しも押されもせぬ主力として活躍した。

 '18年、満を持して広島に復帰。だが、思うように出場機会をつかめなかった。後半に守備固めとしてボランチなどに入るのが主な役回りで、先発は2試合のみ。リーグ戦18試合に出場したとはいえ、チームが失速して優勝を逃したシーズン終盤はベンチ外も多かった。

 経験を積んで戻ってきても、状況は大きく変わらない。キャリアの今後を考えれば、再び新天地を求めても不思議ではなかった。

【次ページ】 残留を決意させた城福監督の言葉。

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