野球を探求し、楽しんでいる。

　前年のシーズンに比べ、好成績を残した2018年のオフでさえ、思うこと、誓うことは一切変わらないというところが栗山らしい。

「オフの間、全く野球を考えない1日はないかもしれないですね。オフになって、またこういう練習をしたいとか、考えていますからね。ときどき、『いつまでこうしてオフの間も野球のことを考えられるかな』って思うんですけど」

　オフに翌年の自分を思い描けるのは幸せなことだと笑う。

　栗山は自他ともに認める野球談議好きだ。特に2018年シーズンは松井稼頭央がチームに加入し、バッティングの技術論に花を咲かせる場面が増えた。

　厳しい勝負の世界に身を置きながらも、毎日の試合の中で、相手バッテリーとの駆け引きを楽しみ、野球を探求しているふしがある。

　そのせいか、しびれるような試合が続いた2018年シーズンの終盤から、クライマックスシリーズにかけて、震えあがるような緊張感の中にいながら一方で、真剣勝負を楽しんでいるように見えた。相手バッテリーとの勝負に敗れても、常に冷静に、次の対戦のための策を講じ始めているように見えた。それも人一倍、楽しそうに、である。

「自分のスイングだけしよう」

　クライマックスシリーズ第2戦で初回、先制の本塁打を含む4打数3安打を記録。シリーズ歴代最多タイの6打点を挙げた試合のあとも、こう淡々と振り返った。

「打線がつながっているときは、やっぱり押せ押せで『もう一丁』という、より前向きな気持ちになりますけど、それでも『自分の打てる球だけを打ちにいこう』という冷静な気持ちで待っていました。

　初回、もしチャンスで回ってきてもいいように心の準備はしていました。打席の中で余計なことを考えてしまうのがいちばん嫌なので、とにかく自分のスイングをすることだけ考えます。もちろんランナーを返したいと思う気持ちはあるんですけど、それはあえて省いて、自分のスイングだけしようと思っています」

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