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ラミレスはやはり名監督なのでは?
得失点-70で4位を維持する能力。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2018/11/15 07:00

ラミレスはやはり名監督なのでは?得失点-70で4位を維持する能力。<Number Web> photograph by Kyodo News

就任3年目ではじめてCS出場を逃したアレックス・ラミレス監督。しかし数字を見ていくと……。

3年間、ずっとプラスを記録し続けた。

 3人の監督の3年間の実際の勝ち星と、ピタゴラス勝率の勝ち星の差を調べてみた。()は差

2016年
高橋由伸(巨) 実71勝 ピ67勝(+4)
ラミレス(D) 実69勝 ピ68勝(+1)
金本知憲(神) 実64勝 ピ65勝(-1)
2017年
金本知憲(神) 実78勝 ピ77勝(+1)
ラミレス(D) 実73勝 ピ69勝(+4)
高橋由伸(巨) 実72勝 ピ74勝(-2)
2018年
高橋由伸(巨) 実67勝 ピ75勝(-8)
ラミレス(D) 実67勝 ピ62勝(+5)
金本知憲(神) 実62勝 ピ65勝(-3)
3年合計
高橋由伸(巨) 実210勝 ピ216勝(-6)
ラミレス(D) 実209勝 ピ199勝(+10)
金本知憲(神) 実204勝 ピ207勝(-3)

 何と、ラミレス監督はここ3年連続でピタゴラス勝率を上回る勝ち星を挙げている。トータルでは10勝も積み上げている。他の2人がマイナスなのと対照的だ。

 これは「偶然」ではなく「有意」なのではないか、そう思うのだ。

 ラミレス監督の采配を調べると、他の監督とは異なる部分が色々見えてくる。いくつか挙げてみよう。

1.小さく勝って大きく負ける

 阪神、巨人、DeNAの3点差以内の勝ち試合(競り勝ち)と6点差以上の負け試合(大敗)の数はこうだ。

ラミレス(D) 競り勝ち46試合 大敗17試合
金本知憲(神) 競り勝ち39試合 大敗14試合
高橋由伸(巨) 競り勝ち37試合 大敗12試合

 DeNAがピタゴラス勝率よりも常に勝率が高いのは、競り合った試合をしっかりものにする代わりに、大負けした試合にそれほど固執しないからだ。口は悪いが「捨てゲーム」を上手に作っていると言えるのではないか。

2.先発投手にこだわらない

 セ・リーグ6球団の、クオリティスタート(先発で6回以上投げて自責点3以内)の数と、試合数に占める比率も興味深い。

1巨人   72QS(50.35%)
2中日   70QS(48.95%)
3阪神   65QS(45.45%)
3広島   65QS(45.45%)
5ヤクルト 58QS(40.56%)
6DeNA  45QS(31.47%)

 QSは先発投手の最低限の責任と言われる。DeNAのQS数は12球団でもダントツに少ない。先発投手が責任を果たしていないとも言えるが、ラミレス監督は先発投手が不調と見るや、さっさと継投策に出るのだ。

 今季、セ・リーグで50試合以上登板した投手は19人いるが、このうちDeNAは最多の6人。ちなみに巨人は0だった。先発投手に頼らず、救援投手を総動員して勝ちに行くのがラミレス流なのだ。

【次ページ】 四球が少なく、8番が投手。

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