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運動会での「かけっこ上達法」、
ヒントは電車の車輪とAKBの曲?

posted2018/09/24 08:00

 
運動会での「かけっこ上達法」、ヒントは電車の車輪とAKBの曲?<Number Web> photograph by AFLO

リオ五輪100m準決勝で同組だったウサイン・ボルトと山縣亮太。言ってみれば、かけっこの世界的頂点だ。

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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 10月10日は体育の日……じゃなくなってもう20年近いが、秋はやっぱり運動会シーズンである。運動会の花形競技と言えば昔も今も、かけっこ。

 やっぱりわが子にトップでゴールテープを切ってほしいと思うのも親心。もしくは夕飯の団らん中に「○○ちゃんはものすごく速いから……」と切なそうに言っていたら、何とか少しでも足が速くすることはできないか、なんて考えてしまうだろう。

 とはいえ世界で戦うスプリンターのように、パーソナルトレーナーをつけて走力を上げよう、なんてアプローチは難しい。家でできる範囲で、かけっこに勝てるようになる練習法や走り方を教えてあげられないものか。

 そこで目をつけたのはスポーツ科学。近年はトップアスリートが科学的アプローチを活用しているという話もよく聞く。ということで、物理で各種競技と向き合っている専門家に話を聞くことにした。向かった先は東洋大学理工学部の望月修教授の研究室だ。

 望月教授は1980年代後半にスキージャンプ日本代表チームの依頼で飛行姿勢の解析に取り組み、それ以降スポーツの研究にのめり込んだ。『オリンピックに勝つ物理学』、『おもしろい! スポーツの物理』といった著書もある、この分野の第一人者だ。

 そんな望月教授が挙げてくれたヒントは「電車」と「AKB48のヒット曲」。ちょっと意味がわからない。桐生祥秀らを輩出した陸上部の練習グラウンドが窓から見える研究室でかけっこ上達法を聞いてみた。

スキージャンプ日本代表を担当。

――望月教授はこれまで、物理学からスポーツにアプローチしてこられたとか。

「そうです。私がスキージャンプに関わり出した当時、ニッカネンという凄いフィンランド人ジャンパーがいて、どうすれば日本もあれだけの距離を飛べるのか、というのを物理的に解析し始めたんです。それから、研究対象の競技もどんどん増えていきました。もともとは虫など生物の効率の良い飛び方を研究してたんですけどね」

――意外な経歴です(笑)。では、さっそくかけっこが速くなる物理学を……。

「あ、前置きしておきますけど、物理的アプローチですぐ速くなるってわけじゃないですよ。練習することで上達していくわけですし、日々のトレーニングが重要ですからね」

【次ページ】 加速時は前傾姿勢をキープ。

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ウサイン・ボルト
山縣亮太

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