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絶対プロになると中1で決断した男。
青森山田→札幌で夢実現の檀崎竜孔。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2018/09/18 17:30

絶対プロになると中1で決断した男。青森山田→札幌で夢実現の檀崎竜孔。<Number Web> photograph by Takahito Ando

札幌でのレギュラーにとどまらず、A代表のメンバーに選ばれるように育てていきたい、とクラブ関係者もその素質を絶賛している檀崎竜孔。

「すべてが凄く雰囲気が良い場所で」

 インターハイ後、一旦は仙台へ帰省し、久しぶりの実家で自分を奮い立たせようとしていたとき、彼のもとに新たなチャンスがやって来た。

「コンサドーレが興味を持っていて、練習参加させてもらえるぞ」

 檀崎は、黒田監督からの電話を受けた時、思わず身震いしたという。

「札幌が僕にプロになるチャンスを与えてくれた……。黒田監督からも『ラストチャンスだぞ』と言われたように、僕も最後だと思ってすべてを出し切ると心に決めました」

 参加を即答、8月下旬に札幌の地で自分を精一杯表現することとなった。

「札幌は凄く雰囲気が良かったし、ペトロヴィッチ監督のサッカーは物凄く頭を使わないといけないし、それに適応している選手のレベルも高くて……本当に自分が望んでいる場所でした。

 それにファンとの距離が近くて、凄く選手に対して思いがあると言うか、温かいチームだと思った。練習場もヨーロッパみたいで、石屋製菓のれんが造りの工場がそばにあって……。すべてが凄く雰囲気がいい場所で、『ここでやりたいな』と思った」

 そして、練習最後の日にペトロヴィッチ監督から心強い声を掛けられた。

「突破の部分でも、インサイドでプレーする分にも面白いプレーヤーだね。これから他のクラブに練習参加をするかもしれないけど、決断できるなら私の下でやってほしい」

 その言葉から数日後、札幌から正式なオファーが届いた。

「周りから『(進路は)どこに行くの?』と何度も聞かれて、『まだ決まってないです』と毎回答えるのが本当に辛かったし、悔しかった。だからこそ、正直ほっとした気持ちもあります。

 札幌には感謝の気持ちしかありませんし、(郷家)友太のように1年目からしっかりとチームに貢献できるように、今から精一杯準備をしたいと思っています」

プレミアイーストで得点ランク独走!

 今、プレミアイーストにおいて、檀崎は得点ランキングトップを独走している。

 第13節終了時点で重ねたゴールは14。2位の選手に7ゴール差で、青森山田も13戦無敗(7勝6分け)で2位につけている。しかも、ここまで13試合で檀崎がノーゴールに終わったのはわずか2試合だ。コンスタントにゴールを叩き出し、まさにエースとして相応しい働きを見せている。

「今年結果を残すのは絶対だった。高2の1年間を後悔するより、これからを全力で戦いたかった。これで取り戻せたとはさらさら思っていないので、もっと貪欲にチームのために結果を求めて、笑顔で青森山田の6年間を締めくくりたい」

「なりふり構わず掴みとった夢への階段」は、反骨心にさらに火を点けた。

 自分を支えてくれた周囲の人たちに恩返しを果たす。

 檀崎竜孔は津軽海峡を渡る前に、青森山田でやり残したことをすべてやる覚悟を固めている――。

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