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W杯もEUROもない年に真剣勝負を。
フランスとドイツが新リーグで激突!

posted2018/09/06 11:30

 
W杯もEUROもない年に真剣勝負を。フランスとドイツが新リーグで激突!<Number Web> photograph by UNIPHOTO PRESS

黄金時代の予感漂うフランスと転換期のドイツ。しかし、現時点での優位が将来を保障しないのもサッカーの面白いところだ。

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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UNIPHOTO PRESS

 ロシアW杯からふた月と経たないのに、欧州では今週、代表チームの黄金カードが予定されている。2014年と2018年の世界王者、ドイツとフランスが激突するのだ。しかも真剣勝負である。

 これは今季から隔シーズンで開催される『UEFAネーションズリーグ』の一戦だ。代表戦の価値を高めるために新設されたコンペティションである。

 かねてより欧州では、代表チームのフレンドリーマッチの意義が疑問視されていた。どれほどの好カードであろうと、そこに何も懸かっていなければ、意味を見出しにくい。それがマイナー国同士であれば関心はより薄くなり、観客を集めるのにもひと苦労するような状況にあった。

 また近年はチャンピオンズリーグやプレミアリーグの隆盛により、人々のフットボールへの欲求は、白熱するクラブレベルでほぼ満たされるようになっていた。ビッグクラブの方がクオリティーに優れ、移籍動向は常に大きな興味を引く。

 そして多くのクラブの監督は、代表の親善試合に所属選手が呼ばれることを好まない。大事な選手が実りの少ない試合で怪我でもされたら困るからだ。選手たちも覇気のない姿を見せることがままあり、ファンの足も次第に遠のいていった。

 W杯やEUROのような主要大会が近づかない限り、代表戦線に興味が湧かない。当然といえば、当然の反応かもしれない。

EUROとW杯のない年も本気の勝負を。

 UEFAはこの状況を深刻に受け止め、7年ほど前から議論を重ねてきた。そして2014年3月の総会で、ネーションズリーグの発足が満場一致で可決された。その記念すべき第1回大会が、今週のインターナショナルマッチウィークから始まるのだ。

 主旨はW杯とEUROのないシーズンにも本当の勝負を重ねて、欧州最強国を決めること。大会のフォーマットは次の通りだ。

 まずUEFAに加盟する55協会の代表チームが、UEFAランキングによってA~Dの4レベルのリーグに分けられ、各リーグのなかでさらに4つのグループに振り分けられる。最上位のリーグAと次点のBには12チーム、リーグCには15チーム、リーグDには16チームが属し、それぞれに3、4チームで構成される4グループが出来上がる。

【次ページ】 昇格、降格もある真剣勝負。

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