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プロ野球にダブルヘッダー復活を!
終盤の過密日程、消化試合を防げ。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2018/07/18 10:30

プロ野球にダブルヘッダー復活を!終盤の過密日程、消化試合を防げ。<Number Web> photograph by Kyodo News

プロ野球最後のダブルヘッダーは1998年の10月に行われた横浜対中日と、西武対オリックスだ。

MLBは同じ期間で162試合、なぜ?

 ざっくり言えばNPBは約6カ月、180日ほどで143試合を消化する。稼働率は約80%。MLBは同じ期間に162試合を消化する。稼働率は90%だ。しかし、MLBでは雨天中止に伴う混乱はほとんど起こらない。

 前提としてそもそも降水量が違う。東京の年間降水量は1466mm、ニューヨークは1122mm、そしてロサンゼルスは380mm。雨天中止試合が圧倒的に少ないのだ。

 そして、MLBは雨天中止になっても、翌日の試合をダブルヘッダーにして消化してしまうことが多いので、振り替え試合を後に持ち越すことが少ない。

 そのうえMLBは、すぱっと試合自体をなしにする。毎年、ポストシーズンが始まる前々日までに未消化だった試合は打ち切りになるのだ。

 2017年は打ち切りはなかったが、2016年はデトロイト・タイガース、クリーブランド・インディアンス、アトランタ・ブレーブス、マイアミ・マーリンズが161試合でペナントレースを終えた。

 1試合とは言え、少なくなれば興行収入は減るし選手成績にも影響する。しかし、球団、選手の個別の利益よりもリーグ運営を優先する考え方が確立されているのだ。

消化試合数が違うと、順位がわかりづらい。

 中止試合を翌日に消化するシステムは、ペナントレースを分かりやすくする効果もある。

 MLBのペナントレースは全期間を通じて各球団の消化試合数は2~3試合の差で収まっている。だから勝率やゲーム差がわかりやすい。

 NPBは未消化試合をいつまでも持ち続けるので、試合数に差が出がちだ。昨年の楽天は未消化試合が多く、終盤に最も消化が早かったソフトバンクと試合数が9試合も開いた時期があった。こうなるとゲーム差と勝率の乖離が起こることさえある。

 ペナントレース終盤に、消化試合の差から実際の順位がわかりにくい、気持ち悪い状態になることがしばしばあるのだ。

【次ページ】 ダブルヘッダーを再開してみては?

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