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ウイイレ的に見た世界の最強国は?
「選手パラメータのつけ方は……」 

text by

細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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photograph byIssei Hiramatsu

posted2018/06/14 17:50

ウイイレ的に見た世界の最強国は?「選手パラメータのつけ方は……」<Number Web> photograph by Issei Hiramatsu

ウイイレシリーズの制作を手がける田谷淳一さん。実はオープニング映像には彼が実際に操作したプレーも入っているほどの強者。

パラメータってどうやってつけてるの?

――そもそも、パラメータってどうやってつけているんですか?

「『ウイイレ』が広く認知され始めた1990年代後半は、現在のように簡単にインターネットを使って情報を得られる時代ではありませんでした。だから、雑誌やテレビで得られる限られた情報を駆使して選手の能力を数値化していたのですが、正直なところ、担当者がたまたま見た映像でものすごく足の速い選手がいたら、その選手の『スピード』数値が上がるというレベルのものだったんです。

 もちろん、ユーザーさんにとっても“ほとんど知らない選手”であることが多く、ウイイレでプレーしてみて『そういう選手なの!?』と知る人は多かったですよね」

――まさに、僕自身もその1人です。じゃあ、当時はちょっとした“遊び感覚”でパラメータを作成していたことも?

「それは……そのとおりです(笑)。ちゃんとした情報を得られる選手は問題ないのですが、そうじゃない選手はなかなか難しくて。

 ただ、シリーズが進んで、ウイイレがより多くの人に受け入れられるたびに、ユーザーさんから『そうなの?』『ちょっと違うんじゃ?』という声もたくさんいただくようになりました。当然、私たち制作チームとしては、できるだけそういう声をなくすようなパラメータを作りたい。パラメータに対する“本気度”は、どんどん上がっていきました」

 

――そうした“遊び感覚”のおかげで、ウイイレ的なスター選手も誕生しましたよね。例えば、ナイジェリア代表のババンギダ選手は、ウイイレで使うと反則的に足が速いことから、実際のプレーを観たことがないサッカーファンにも広く認知されました。

「おっしゃるとおりです。そういう意味でも、ウイイレにとってパラメータは、ゲームとしての認知が拡大するほど重要なものになりました。ゲームが進化して“リアルなサッカー”を追求するにあたって、それを表現するための生命線になったと言える気がします」

――パラメータの作成環境は、どのように進歩したのでしょう?

「現在の体制で言うと、世界各国で“レビュアー”と呼ばれる情報提供者と契約しています。全世界に数百人いるのですが、彼らにはインターネット上でデータを入力できるツールを提供していて、それがデータベースに蓄積されていく。それらを統合してパラメータを設定するという作業が、毎作行われています」

――レビュアーさんの主観が必要以上に反映される心配は?

「それを防ぐためのシステムもしっかりと構築されています。最終的には、客観的かつ相対的なデータとするため、例えばリーグのレベルやクラブのレベルに伴う数値の上限がある。そうしたシステムの充実によって、現在では非常に公平なデータ化に成功していると思います」

【次ページ】 エジルが「もうちょっとスピードを……」。

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