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「2番に送りバント」は安易すぎ?
西武源田と日本ハム大田は強攻型。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byKyodo News

posted2018/05/30 10:30

「2番に送りバント」は安易すぎ?西武源田と日本ハム大田は強攻型。<Number Web> photograph by Kyodo News

大田泰示は2番ながら交流戦開幕時点で10本塁打を放っている。打順に多様性があるから、野球も面白くなる。

ノーサインでも各自が考えて打席に。

 そんな野球について、秋山はこう言う。

「最近こそ少し苦しいチーム状態ですが、それぞれが色々な場面を想定してバッティング技術を発揮していると思います。例えばノーサインの時、何も考えずにフライを打ち上げるバッターだったら、送りバントした方がいいのかもしれません。ただ得点差などに応じて、ヒットを打つべきか、最低限走者を進めるのか、進塁できなくても走者が入れ替わった方がいいか、など状況を整理できているのかなと。

 ノーアウト一塁から一、二塁のケースをつくりたいなら、ライト前を狙いすぎるのではなく、打ちやすい方に打てばいい。例えば左打者がアウトコースのシュートを一二塁間に打つのは難しいですから、三遊間を破ればいい。ノーサインでも各自が考えて打席に立てているし、凡打になっても監督が“どういう意図だったんだ”という話し合いをしてくれるので、それが新しい引き出しになっていると思います」

 また源田に加えて、外崎修汰、金子侑司、木村文紀ら盗塁ができる選手が多くいることも大きい。秋山が「走者を警戒してボールから入ることが増えれば、打者有利のカウントになることも多いです」と打者側のメリットも語っている。

 無死走者一塁から犠打で一死二塁にするのは1つのパターンと言えるが、選手の打撃力が高いなら、打ってチャンスを広げる方がより効果的だろうし、上手くいけば大量得点も見込める。中継ぎ陣が手薄な西武にとっては、できる限り多くの得点を挙げる方が試合を優位に進められるのだ。

日本ハム栗山監督は犠打が多かったが。

 一方、2位の日本ハムも犠打数28個とパ・リーグでは西武の次に少ない。送りバントは中島卓也や杉谷拳士らの下位打線、終盤のここ一番の場面に多いのが特徴だ。

 もともと、栗山英樹監督は送りバントを好むタイプで、2016年はリーグトップの犠打数で優勝を遂げている。しかし今季は進境著しい若手こそ多いが、戦力層は厚くない。そこで栗山監督は戦い方を変えたのだ。

 その変化の象徴が「2番・大田」だ。

【次ページ】 2番打者への先入観にとらわれず。

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