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バルサイズム最後の継承者が中国へ?
イニエスタの選択は何を意味するか。
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byGetty Images
posted2018/04/19 11:30
エースはメッシでも、バルサをバルサたらしめていたのはイニエスタだった。彼の移籍はクラブ文化そのものの危機なのだ。
シャビ、イニエスタの系譜が途絶える?
マシアの育成方針にも小さくない疑念を抱いていたかもしれない。
ペップが去ってもシャビがいた。シャビが去ってもイニエスタがいた。では、イニエスタがいなくなったら? セルヒオ・ブスケッツはタイプが少し異なるし、彼も7月で30歳だ。後継者候補のチアゴ・アルカンタラは、もうずいぶん前にバイエルン・ミュンヘンへ放出されている。バルサのアイデンティティーは誰が受け継ぎ、誰が守るのだろう。
CL準々決勝第2レグでローマに0-3で敗れ、第1レグでのアドバンテージをものの見事にひっくり返されたバルサ。彼らは玉砕覚悟の強烈なプレスを跳ね返すことも、軽やかにいなすこともできなかった。
枠内シュートは3本、総パス数は500本に届かず、ボール支配率も60%を割り込んだ(55%)。毛の先ほどもバルサらしい支配力を見せられなかったこの試合が、イニエスタにとって最後のCLとなったとしたら、それは大いに示唆に富んだ敗北ではないか。“ドン・アンドレス”との別れが、すなわちバルサスタイルの終焉を意味するような気がしてならない。
もはや今のバルサには、イニエスタがスーパーマンに変身するための電話ボックスはないのだろう。だとすれば、とても悲しいけれど、結論はひとつしかない。