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キックオフ直前にGL敗退が決定……。
川崎はACLから何かを持ち帰れたか。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byGetty Images

posted2018/04/05 12:05

キックオフ直前にGL敗退が決定……。川崎はACLから何かを持ち帰れたか。<Number Web> photograph by Getty Images

主力を温存した川崎だが、出場した選手は上海上港相手に互角の戦いを演じた。

大久保嘉人の落胆と不甲斐なさ。

 FWとして出場しながらも、得点はできなかった。それでも、最終ラインまで戻って守備をしたり、中盤に下がり、ボールを引き出して攻撃の起点にもなった。

「チームを助けるプレーというのは、やりたいと思っている。そのうえで最後は前線に顔を出し、中央で勝負する。そういう自分のプレーがもっとできればよかった」と語る。

 今季川崎に復帰するうえで、大久保にとってACLは大きなモチベーションになっただろうし、過去自身が中央で勝負し、得点を重ねてきた自負もあるだろう。リーグ戦での出場機会がそう多くない状況を考えれば、ACLという舞台がなくなった落胆もあるだろう。

 そういう悔しさや不甲斐なさが大久保を饒舌にしていた。現実を受け止め、それを改善するのも自分自身でしかない。そんな想いが見え隠れしていた。

若い選手にとっては貴重な出場機会に。

「今日出場した若い選手にとっては、いい経験になったと思う」と大久保が話した通り、ボランチで先発出場した新加入の守田英正は「リーグ戦とは違う大きい大会に出してもらうという経験がないと思うので、初めてボランチで起用されたのは大きな自信になった。これを違うタイトルに繋げたい」と清々しい表情で話している。

 大久保と入れ替わり、前線まで攻め上がるシーンなど守備以外でも魅せた。

「立ち上がりは、ボールを失ったりパスミスがあったんですけど、立ち返る場所というか、走ることだったり守備をやりなおして、リズムを取り戻そうと思って、いい感じでチームの連係も取れてきて良かった。

 やれた部分、やれなかった部分を自分で理解できた。ずっと出ている選手の中に僕とかが入って、チームとしての一体感を作りきれなかったのが、敗退という結果に繋がっていると思う。個人の力では負けていないと思うので、そういうところを突き詰めたい」と前を向く。

 そして、同点ゴールを決めた2年目の知念は「前半は良い守備から良い攻撃へと繋げられた。でも、そこで点が取れないのが今年のフロンターレ。最後の質の部分をもっと突き詰めてやっていきたい」と冷静に試合を振り返った。

【次ページ】 Jリーグ王者が1勝もできぬまま敗退決定。

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