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マンC相手に連続完敗のアーセナル。
また解任の声、ベンゲル22年目の冬。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2018/03/04 07:00

マンC相手に連続完敗のアーセナル。また解任の声、ベンゲル22年目の冬。<Number Web> photograph by Getty Images

グアルディオラ(右)の攻撃サッカーの前になすすべもなかったベンゲル監督。逆襲の機会は来るのか。

昨季はFA杯を制したベンゲルだが。

 確かに、チェルシーを下してFAカップ優勝を果たしてから1年と経っていない。自身は通算7度目、クラブとしては国内最高13度目となったFAカップ優勝は、批判の声を和らげるクッションにもなった。

 しかしながら、今回のリーグカップ決勝は正反対の効果をもたらした。そもそも今季は開幕前後から優勝候補とすらみなされていなかった。FAカップは2部ノッティンガム・フォレストとの3回戦で敗退。16強に駒を進めたヨーロッパリーグも、分が悪いミランとの対戦が控えている。

 だからこそ、リーグカップは今季最大のタイトル獲得チャンスだった。それを逃したチームの姿に「昨季限りであるべきだった」との思いをベンゲル体制に覚えたファンの数はさらに増えたに違いない。

 ベンゲルは「決勝で敗れただけ」と話したが、負け方も悪すぎた。シティはリーグで首位を独走しているが、ウェンブリーでの出来は、今季プレミア年間最優秀選手の呼び声高いMFケビン・デブライネを含めて本調子ではなかった。

 にもかかわらず、試合前に「アンダードッグ(勝ち目の薄い弱者)」と自軍を評したベンゲルの言葉通り、完敗した。プレッシャーを和らげつつ、選手たちを鼓舞する狙いの発言だったはずが、チームは期待された反応を示してくれなかった。

“らしい”守備と“らしくない”攻撃。

 3度の失点シーンは、いずれも悪い意味でアーセナルらしかった。1点目はムスタフィが軽く突かれただけでせり合いをやめてファウルをアピールし、アグエロに決められた。無駄に与えたCKから2点目を奪われると、3点目はチェンバースがダビド・シルバにターンで簡単にかわされるなど、両CBを筆頭に拙守が露呈した。

 一方、肝心の攻撃ではアーセナルらしくなかった。縦に速い攻撃を織り交ぜること自体は悪くないが、新加入で最前線のピエール・エメリク・オーバメヤンに、一か八かのロングボールが放たれるケースが目についた。本来の繋いで攻める戦いを仕掛けようという心意気が感じられた選手は、ジャック・ウィルシャーぐらいだっただろう。それさえも、ほぼ前半だけに限られていた。

【次ページ】 ウィルシャーも中軸になりきれぬまま。

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