プレミアリーグの時間BACK NUMBER
マンC相手に連続完敗のアーセナル。
また解任の声、ベンゲル22年目の冬。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2018/03/04 07:00
グアルディオラ(右)の攻撃サッカーの前になすすべもなかったベンゲル監督。逆襲の機会は来るのか。
雪のロンドンで諦め調のブーイング。
リーグ戦でもグアルディオラのシティが本領を発揮した一方で、ベンゲルのアーセナルは歯が立たなかった。3失点ともに個人技と連係の双方で相手攻撃陣が遥かに上回っていた。後半早々に訪れた一矢を報いるチャンスでは、オーバメヤンのPKがエデルソンに止められた。
この日のホームは、降雪による交通機関の乱れもあって空席が目立った。観客は2点目で声を失い、3点差となった33分にはブーイングで不満を表した。それも、悔しさみなぎる怒号のようなものではなく、チームを見捨ててしまっているかのような、諦め調のブーイングに感じられた。
今季のマンCがそうであるように、ベンゲルのアーセナルも、かつては美しく強かった。今後も、その片鱗を垣間見せる試合はあるだろう。最新事例は2月3日のエバートン戦だ。オーバメヤンとヘンリク・ムヒタリアンの新戦力が冴え渡った5-1の大勝だ。
しかし人々の印象に残るのは、中3日の連戦でマンCに合計0-6で敗れたチームに他ならない。
昨季はプレミア5位、今季は残り10試合で首位と30ポイント差の6位にいるアーセナルが、ベンゲルの契約最終年となる来季中に優勝候補に返り咲くのは至難の業だ。誰がチームを受け継いだとしても、最低3、4年の復活プロジェクトになるのではないか?
後任はアンチェロッティ、シメオネ?
であれば、できるだけ早く中長期的展望で後任に再建を託すべきだ。噂の候補には、上は58歳のカルロ・アンチェロッティから、47歳のディエゴ・シメオネ(現A・マドリー)や45歳のブレンダン・ロジャーズ(現セルティック)、そして下は40歳の有望株エディー・ハウ(現ボーンマス)まで挙がっている。
北ロンドンの雪は、寒波が去れば程なくしてとける。しかし、ベンゲルのアーセナルに対する、冷え切ったファンの心の雪解けは、もはや指揮官が身を引く意を固めるまで訪れそうにない。
チーム立て直しへの自信を問われて「もちろん、あるさ」と即答したベンゲル。願わくば、その毅然とした態度を今季末の退任決意で示してほしい。