プロ野球亭日乗BACK NUMBER
松井秀喜の言葉から探る打撃の真髄。
岡本和真が村田修一を越えるために。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/02/16 10:30
宮崎キャンプでは松井秀喜臨時コーチの指導も受けた岡本。果たして覚醒なるか。
松井から以前聞いた興味深い打撃論。
宮崎入りした6日からチームを去った12日まで、岡本のフリー打撃では付きっ切りで様々なアドバイスを送っていた。
右足に体重を残して、そこを軸に回転する。松井さんの指導する打撃の基本で、このメジャー打法を教え込むために、様々な方向から指導を行なっている。
松井さんは個々の選手に関して、指導内容などをあまり口にしない。だから今までに聞いてきた色々な話から、パズルのようなその断片を組み合わせて、何をどういう意図で教えているのかを想像するしか方法はない。
その中で感じるのは、岡本の欠点の1つ。ボールを打ちに上半身が前に出てしまうことだった。
これは以前に松井さんから聞いた打撃フォームの話だ。
「バッターっていうのは、腕が一番伸び切ったところでボールを捕らえて打つのが一番、強いインパクトになるし飛距離も出る。引きつけると詰まるんじゃないかって心配する人もいるけど、そうじゃない。それより前で捌こうと自分からボールに近づいていってしまうと、逆に距離も取れないし、インパクトも弱くなってしまうんだ」
松井さんのそんな言葉を思い浮かべながら、岡本の打撃を見ていると、そのふところの狭さが気になってくる。
フリー打撃で10本打ったら8本は……。
岡本のフォームは力感を求めてテークバックで左肩を捕手方向に入れすぎる。肩を入れ過ぎると、右腰が引けて右側の壁が崩れて軸足に体重が乗り切らない。後ろ足に体重が乗り切らないから、スイングを始動すると反動で今度は早く左肩が開き始めて手が出てきてしまう。
それでもうまくタイミングが合えばボールは飛ぶのだが、きちっとした形ができていないから確率が悪いのである。
「すごい打球を見るとみんなそれだけで感心するけど、問題はそういう打球をどれだけ続けられるかということなんだよね。フリー打撃で10本打ったら、最低でも8本ぐらいは芯で捕らえた打球を打てないと、一軍で結果は残せないと思うよ」
これも以前、松井さんにフリー打撃の見方を聞いたときに言っていたことだった。